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花の童話

フクジュソウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 むかし、むかしあるところに白い時計搭の
ある村がありました。
 村にはおてんばで歌好きでお喋りな娘リム
ネーという人気者がおりました。
 リムネーの人気の秘密は、話し上手で聞き
上手なところです。
 いつも、村の真中にある白い時計搭でいろ
んなお話をしています。
 ある冬の日。白いウサギたちも震え上がっ
ているころリムネーのところに1人の子供が
やってきました。
「ねーねー、リムネー。まっしろな雪の中に
黄色い花がさいていたよ。
 まだ、冬なのに花さんがんばってるね」
「へぇ、こんな時期に・・・。
 それはきっとフクジュソウね。
 幸せを運んでくれる花よ。
 フクジュソウはね、むかしむかし、美し
い女神だったの」
 女の子は目を輝かせます。リムネーがこん
な話し方をする時は、面白い話をしてくれる
からです。
「美しい女神様は女神様の父親が決めた、と
っても獣の神と結婚することになりました。
獣の神は、広大な領地を所有し、武勇誉
れ高く、千里眼のように物知りでした。
 でも、美しい女神はいろいろ理由をつけて
獣の神を避けつづけました。獣の神はあきれ
果てるほど醜い容姿だったからです。
 獣の神はそのことを知って、ひどく傷つき
ました。
 美しい女神の父は怒り、美しい女神をフク
ジュソウに変えてしまいました。
 そして、獣の神を深く深く傷つけてしまっ
た償いに、つらく厳しい季節を生き抜くすべ
ての人間を幸福にせよと言いつけたのです。
 それからフクジュソウを見た人には幸福が
訪れると言われています」
 女の子はリムネーの話に満足して拍手をし
ました。
「私はとっても運が良かったんだね」
 女の子がいいました。
「ええ、そうよ。そして、その幸運を他の人
に分け与えると、もっと幸福になるものよ」
 リムネーがそう語ると、女の子は微笑みな
がら大きくうなずきました。

呟き尾形 2004/3/21 掲載

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