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花の童話

スノードロップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 むかし、むかしあるところに白い時計搭の
ある村がありました。
 リムネーは、おてんばで歌好きでお喋りな
娘です。
 いつも、村の真中にある白い時計搭でいろ
んなお話をしています。
 今日のお話は世界で最初の男、ウィルと、
最初の女、フェミナの物語です。
「ウソかホントか知らないけれど、ウィル
とフェミナは、神様と約束を破っちゃったの。
 楽園の外に住んでいる蛇から何も教わって
はいけないよ。という約束。
 でも、フェミナは蛇から火というものを教
わり、ウィルに教えたの」
 リムネーは、何かを思い出したかのように
物語を語り始めます。
 ウィルは嬉しくて、神様に火を披露してみ
せました。神様は、その火を見て、怒って、
ウィルとフェミナを楽園から追い出します。
 すると、周りに青々と茂った草木と、色と
りどりの花達が、凍るような雨と雪が混じっ
た白い風に、しなしなとしなびてしまいまし
た。
 白風は吹き止むことを知らないまま、凍り
そうな雨と雪をウィルとフェミナに投げつけ
ます。
 凍えるフェミナを暖めようと、ウィルは
フェミナから教わった火を焚きます。
 フェミナが震えている間に、ウィルは、
狩りをして、白いウサギを捕まえて、フェ
ミナは、それを焼き、二人で食べました。
 そんな、罪深き生活で続けると、ようや
く白風がやみました。
 雪雲の隙間から、光の線がウィルとフェ
ミナの焚き火のあとを照らすと、そこには、
捕らえた動物たちの白い骨と、薄汚い燃え
カスだけが残っていました。
「僕らはなんて事をしてしまったのだろう。
 もう、僕らはだめだ」
 ウィルが嘆きます。
「仕方がないわ。でも・・・」
 フェミナが何かを言いかけると、雪雲に、
もう一つの光の線が白い地面を照らします。
 そこには、雪の白さに負けないくらい白
い花が咲いていました。
 その花の名前は、スノードロップ。

呟き尾形 2004/5/2 掲載

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