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呟き尾形のユング心理学
 第4回 アニムス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アニムス


  さて、今回はアニムスについてです。
 まず、アニムスとは、女性が描く理想の男性像アニムスのことではあります
が、アニマの回でもお話したとおり、男性にもアニムス像があります。
 原理はまるでおなじですが、働きが違います。
 アニマは感情、多くは愛などの精神的な面を象徴するイメージでした。
 逆に、アニムスは、理性、多くは論理性、行動力、社会性という意味合いで
の、物理的な面を象徴するイメージとなります。
 ですから、段階としては、「力」「行為」「言葉」、「意味」となります。
 もっとも、個人的には段階。というよりも、タイプ論にある、思考、直感、
感性、感情のようなものとして、アニムスの「力」「行為」「言葉」「意味」
があるように思えてなりません。
 で、アニムスの発達は、現実の男性に投げかけられながら次第に発達してい
くようです。
 まぁ、恋愛や 男性的な趣味、男性のなした仕事などから影響を受けること
で発達していきます。
 これが、女性は失恋するたびに強くなる。という俗説の根拠に一役買うかも
しれません。
 じゃぁ、この、「力」「行為」「言葉」「意味」はどう言ったものなの
か?
 ということになりますね。
 まず、「力」とは、良くも悪くも暴力的な粗野な力です。
 さまざまな危険から身を守るためには、「力」が必要であり、身体的な能力
の高さこそが目の前の問題を解決するというわけです。
 ですから、「力」のアニムスの強い女性は、自分のみを守ってくれる男性に
惹かれるし、強い男性に憧れを抱きやすく、「力」のアニムスの強い男性は、
自分を鍛えて強くなることを望みます。

 次に「行為」ですが、これは、いわゆる正義や責任感に基づいた行動力を指
します。「力」は純粋な身体的な能力ですが、弱いものを守る。困っている人
を助ける。自分の責任を果たす。などの行動力は意思の強さの象徴あり、
「力」よりも効果的に問題を解決できます。
 ですから、「行為」のアニムスの強い女性は、意思の強い責任感や正義感の
強い男性に惹かれ、英雄的な行為を行う、行った(実績がある)、行おう(夢
に向かう)とする男性に憧れます。同様に「行為」のアニムスの強い男性は、
英雄的行為を行うことを目指します。

 次に「言葉」ですが、これは、正義や責任感の根拠となる理念に基づいた言
葉を意味します。
 ですから「言葉」のアニムスの強い女性は、理念あるいは信念のある男性に
惹かれます。また、ここで言う言葉は、ウソや詭弁のような言いつくろう、虚
としての意味の言葉ではなく、真実と重みのある言葉のことを言い、いわゆる
名言や金言のような言葉の価値を示します。
 「言葉」のアニムスを強く持つ男性は、「ペンは剣よりも強し」というよう
な信念を持ち、言葉(思考)で表現しようとします。

 次に「意味」ですが、理念の根拠となるであろう真理としての「意味」であ
り、段階としては、言葉の上位にある意味ですから、おそらくは、ウィトゲン
シュタインの言う、”語りえぬもの”なのかもしれません。
 正直、これについてはわかりません。
 ただ、力、行為、言葉でもない、男性性、というか宗教的な意味での存在感
であり、真の意味での父性(グレートワイズマン)にかなり近いものだと感じ
ますが、この違いについては、グレートワイズマンのときにできれば行いたい
と思います。
 なんにしても、私にはもう、カリスマ。としか表現しようがないんですよ
ね。
 ごめんなさい。分からぬものについて語ってしまいました。

 で、一説には、アニマとアニムスの内容も性役割ステレオタイプと重なって
いるという指摘があります。
 ちょっと、アニマ、アニムスがステレオタイプの原因だという誤解がある
と判断します。
 ステレオタイプは、ある程度の普遍性とある程度の事実から成り立つもので
して、アニマ、アニムスという普遍性のあるイメージが実際に人の無意識とし
て存在しているわけで、重なるのは当たり前なのです。
 それを、意識的に無批判に思い込んでしまうからステレオタイプなのです。
 だから、ステレオタイプの原因は無意識ではなく、意識にあるのです。

 なので、アニマ、アニムスがステレオタイプの原因になるという解釈は間違
いであり、誤解。ということになります。

 それでは失礼いたします。

質問、感想などは、白い時計塔のある村の掲示板などに書き込みしていただければ、モチベーションもあがります(笑)


 

 

 

 

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