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呟き尾形のユング心理学
 第5回 トリックスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリックスター


  さて、今回はトリックスターについてです。

 本当はシャドウに織り交ぜようかと思ったのですが、大変特殊
な存在なので、トリックスター。という一つの項目を作りました。

 さて、トリックスターとは、なにか?
 物語には必ず必要なトラブルメーカーであり、現実世界にだっ
て存在するトラブルメーカー、一見、組織のお荷物。なんという
か、何の役にたつのか分からない存在。
 いたずら者で変幻自在で、何をするか予測不可能な道化。
 それが、トリックスターです。
 トリックスターは笑いと破壊性をもってはいます。これは、非
日常へ導く為の機能です。
 笑いでリラックスさせて、あるいは、既存の秩序を破壊して
まで非日常性という異世界へいざいないます。

 トリックスターは、非常に思いがけない動きをすることによっ
て破壊の後に結合が生じて創造を促す働きをすることが多く、
トラブルのさなかでは、秩序という秩序を破壊しまくる存在です。
 実際、トリックスターの行動だけを見ると、既存の構成され
た秩序を面白半分に引っ掻き回す存在で、やることなすこと
「迷惑」のひとこと。
 それは、秩序に安穏と している人にとって、苦痛をもたらす
存在でもあります。
 しかし、雨降って地固まるというように、周辺と中心をつなぐ
ものという意味を持っています。
 覆水は盆には返りませんが、新たなる水を汲むことができ
るわけです。
 なぜトリックスターは、既存の秩序を壊そうとするのか?
 それは、決まりきって硬直してしまった世界に、新しい可
能性をもたらす存在なのです。ただ、問題は確信犯などで
はないのです。それはタロットカードにあるフールそのもの
です。
 無茶、無理、無謀ゆえのずば抜けた行動力。無知、無恥、
無秩序という言う
べき、間の抜けた三流策略。無邪気、無節操、無頓着ゆえ
の破壊性。

 心理学的にいうなら、トリックスターは、自我の安定性と
統合性を崩す役割を持っているイメージです。それは新た
な創造性を生み出すための破壊へ導く存在とも言えるで
しょう。
 そんなわけで、トリックスターは、変わらねばならぬとい
う無意識からの
メッセンジャーであり、そのメッセージの意識化の萌芽で
す。ですから、新たな自分を発見するときに何らかの現
象として現れます。

 そんなわけで、トリックスターはピエロ(あるいはストレ
ンジャー)→英雄→王→死という行程を踏みます。

 日本史の顕著な例でいうなら、織田信長は顕著な例で
す。
 うつけものと道化だった信長が戦国時代の英雄となり、
新しい日本を築きました。そして、実質的な日本の王とな
り、本能寺で死を迎えます。

 既存の秩序を破壊し革命を起こすには、トリックスター
は不可欠な存在。といえるわけで、それに是非はない。
というわけです。

 え? なぜ、トリックスターが物語には必要か? で
すって?
 それは物語という非日常性に引き込むための道先案
内人がいないと、物語という非日常に楽しさなんて感じ
ないからです。

質問、感想などは、白い時計塔のある村の掲示板などに書き込みしていただければ、モチベーションもあがります(笑)


 

 

 

 

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