クラウドは、反撃によって、一矢報いたものの、受けたダメージが大きすぎた。一見すると、激昂によって立ち上がっているサウザーが有利にみえるかもしれない。だが、冷静にサウザーを観察すれば、当初に挑発した余裕はなかった。
体力的には、クラウドが劣勢だが、冷静に相手を観察できる分だけ有利とも言える。
体力でサウザーに負けるか、冷静な対処でサウザーに勝利するかが、勝敗の鍵といえる。
冷静に相手を観察しているとはいいつつも、観察している時間だけ判断が遅れる。判断の遅れもまた勝敗を切り分ける要素だ。
なにより、サイクラフト同士の激しい攻防は、常人では理解できないほど、体力と精神力を使う。
クラウドもサウザーも、お互い、体力的、精神的に限界が近づいていることは見て取れた。
クラウドはこの攻防を長引かせることは、不利だと判断した。
その瞬間、クラウドはサウザーの足がふらつかせたスキを見逃さず、両手を組み、その両手が漆黒に染まる。その漆黒は蛇のような太い1本の触手となり、うねりを上げて竜巻の如くサウザーに襲いかかる。
「闇技 ダークキャノン」
漆黒の蛇は鎌首を上げてサウザーに襲いかかろうとした瞬間、サウザーのボディーブローが炸裂する。サウザーの見せたスキはフェイントだったのだ。
そのままうずくまるクラウドに左のフックを決め、ひるんだところに、サウザーの回し蹴りが綺麗にきまり、クラウドの体は吹き飛ばされる。
「あせったな」
ダウンするクラウドを見下ろし、サウザーの勝ち誇った声は、クラウドに届くことはなかった。
クラウドは相手の読みの鋭さと、自分の迂闊さを後悔しながらそのまま意識を失っていった。
GAME OVER
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