クラウドの体力は限りなく限界だった。
反撃によって、一矢報いたものの、受けたダメージが大きすぎたのだ。
一見すると、激昂によって立ち上がっているサウザーが有利にみえるかもしれない。だが、冷静にサウザーを観察すれば、当初に挑発した余裕はなかった。
体力的には、クラウドが劣勢だが、冷静に相手を観察できる分だけ有利とも言える。
体力でサウザーに負けるか、冷静な対処でサウザーに勝利するかが、勝敗の鍵といえる。
冷静に相手を観察しているとはいいつつも、観察している時間だけ判断が遅れる。判断の遅れもまた勝敗を切り分ける要素だ。
なにより、サイクラフト同士の激しい攻防は、常人では理解できないほど、体力と精神力を使う。
クラウドもサウザーも、お互い、体力的、精神的に限界が近づいていることは見て取れた。
いずれにしても、的確な判断の差が勝敗を決める。
クラウドは、サウザーが感情的になっていると洞察した。
そして、感情的な相手は、強引で単調な攻撃パターンになるのは容易に想像がつく。
クラウドは、それをしのいで反撃にでる戦術に出た。
(右ストレート)
クラウドがそう予測すれば、サウザーは右ストレートを出してくる。予測できていれば、攻撃を回避することはそう難しいことでは無い。
ただでさえ、感情的になっているサウザーの攻撃パターンは単調に、力任せになってくる。
当たれば大ダメージを受けるだろうが、防御に徹しているクラウドは無駄の無い動きで回避する。
「このやろう!」
業を煮やしたサウザーはクラウドに向けてモーションの大きな回し蹴りを繰り出すが、強引な体勢からの回し蹴りである為に大きなスキができる。
「もらった!」
クラウドはサウザーの軸足を払うと、サウザーはバランスを崩して無防備な状態になる。クラウドは倒れこむサウザーの顎に掌をあて、サウザーの頭を壁にたたきつけた。
サウザーはそのまま倒れ、立ち上がることはなかった。
クラウドは勝利したのだ。
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