Q・直接秘密は守ったが、言葉の端々から、憶測や推測がたまたま当たっていて、結果的に秘密が漏れてしまったような形になった場合はどうなるのですか?
裁判員になる人は、特別な訓練をうけた人とは限りませんから、誘導尋問などされたり、自分自身の経験を口にしないということは無理な話です。
それを義務づけるとするなら、裁判員になる資格となるべきな訓練が必要になるというものです。
実際、過去の日本において、陪審員制度が適応されたとき、陪審員になった経験者は、陪審員になってよかった、良い経験をしたという回答がほとんどだったと聞いた事があります。
この結果を考えれば、裁判員制度において、裁判員もまた同様の結論を出す可能性は高いと思います。
だからこそ、その良い体験というものを、他者に語り伝えたいと思うことは極自然なことです。
さて、守秘義務において、私の知る限り、かなり漠然な範囲を意味し、どこまで話してよいかの基準が明確になっていません。
そして、元裁判員が経験を語ることで社会的理解が深まるというのも事実でしょうし、それがなければ、裁判員制度そのものが、社会に浸透する事は無く、永遠に裁判員は貧乏くじのように扱われることになるでしょう。
元裁判員が経験を語る。
これだけでも、
・裁判員制度についての理解が深まる。
・社会に裁判員制度が浸透する。
・国民の意見が反映されやすくなる。
ということに、つながる事は自明であるといえるでしょう。となれば、
裁判員制度の目的である、刑事裁判に、世間一般の価値観の導入することは達成できるわけです。
となれば、社会においてとても有益であることは、確実だといえるでしょう。
守秘義務という口止め法律を作る事によって、国民に司法に対する理解と支持が深まることが期待されています。
しかし、守秘義務によって、元裁判員が経験を語ることを阻止されてしまうという、矛盾を抱えてしまうのです。
これを、本末転倒といいます。
さて、なぜこのような矛盾をかかえるのでしょうか?
それは、法律において、守秘義務の範囲がたいへんだからです。
そもそも、法律は、そういった部分を明確にするのが法律のはずなのに、曖昧なまま進めるということは大きな問題だといわざるを得ないでしょう。
ちなみに、守秘義務に違反すると、六月以下の懲役か五十万円以下の罰金となるそうです。
さらに、裁判員を終えた後でも、報酬目当てでなくても評議の経過を他に漏らしただけで罰金刑が適用されるそうです。
これは、横暴で、暴力的な法律だといわざるを得ないように感じます。
いわば、合法的な脅迫が可能だといえることです。
裁判員制度そのものの目的を妨げ、合法的な脅迫を可能にする法律は悪法だといわざるを得ないでしょう。
悪法であれば、それを変えるべきです。
この問題点を解消するのは、ただ一つ、裁判員についての法律に、どこまで話してよいかの基準を明記する。
という一点にかぎるでしょう。
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