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なぜ、復興が、おくれているのか

 

  なぜ、復興が、おくれているのか

 なぜ、復興が進まないのか?
 単純です。
 被災自治体は金がないと口癖のようにいって、被災者を切り捨てているからです。
 増税して、復興予算がつけられているのになぜ金がないのか?
 と思われている人が大勢いらっしゃるでしょう。
 私もそう思いました。
 そして、自治体に問い合わせてみたら、単純でした。
 復興予算には、要綱がないのです。
 要綱とは、基本となる大切な事柄であり、予算の要綱となれば、予算を割り当てる基準と言っていいでしょう。
 基準が無ければなんにでも使えるじゃないかと思われる人もいるでしょう。
 残念ながら、現在の日本においては逆なのです。
 運用面の要綱が無いということは、逐次、規制や法律に基づき、詳細をチェックされ、そのチェックに引っ掛かれば、予算は通りません。
 規制や法律に基づくことは当然と思われますが、その規制や法律は、平時の物であるのにたいし、被災地は東日本大震災という想定外の非常事態であるということです。
 つまり、震災後の復興を目的としていながら、震災前の規制や法律に基づいてチェックされるというナンセンスなチェックが入る為に、復興に必要な特別措置を取ることは不可能だということです。
 これは、2012年の10月18日の国会で、東日本大震災の復興予算の「流用」問題を審議した時、当時の経済産業相だった枝野氏の言葉によくあらわれています。
 枝野氏は、「地域の(復興)計画が立たないなどさまざまな事情から被災地で予算を執行できていないことと、被災地以外に予算が使われていることは、理由も原因も全然別の話だ」
 とのべましたが、被災地は復興計画を立てていますが、政府がそれを認めないだけの話です。
 つまり、被災地の現場の事情で国の基準が合わない点があれば、予算はおりないのです。

 しかし、政府は、基準があわないことを復興計画ができていないと責任を転嫁します。
 当時の総理大臣の野田氏は、総理大臣が最優先課題としておききながら、こんなのが、経済産業相だったのですから復興など夢のまた夢です。
 つまり、国の最優先課題のなのに、原因を、被災地の自治体の責任転嫁しているという政府の態度ではどうにもならないということです。

 被災地の現場の事情で国の基準が合わない点を具体的に上げてみましょう。
 たとえば、私の母校である東松島市立鳴瀬第二中学校は2階まで津波につかり、プールと校庭は津波でえぐられました。
 津波は直撃して、窓ガラスは殆ど破壊されています。
 震災当日は、卒業式が終わった後だっただけに、鳴瀬第二中学校ではけが人も死者もなくすみました。
 当然、鳴瀬第二中学校は復旧の為に復興予算の対象になるはずです。
 しかし、東松島市は、いち早く高台移転の方針を出しつつ、津波被害の甚大だった地域を線引きし、居住できない区域を指定しました。
 鳴瀬第二中学校は、そんな居住できない地域の中にありました。もちろん、校庭とプールはえぐられ、校舎の2階まで津波がつかった学校です。市の判断基準からすればごもっともというところですが、国はちがいました。
 国は、同じ場所に学校を建て直すなら予算を出しますが、移転なら予算は出しませんと言うのです。
 これで、鳴瀬第二中学校の復旧復興は夢、幻となって、淡くはじけ、約60年続いた私の母校の歴史は、閉校に追い込まれました。

 このような、学校のある場所を危険区として指定されているので、復興予算なのに被災地の復興に使えないという現実があります。
 これは単なる一例です。
 
 それを認めたのか、野田元総理は、「被災地の復旧・復興を最優先に、緊急性や即効性の観点から真に必要な事業に絞り込む必要がある」と述べたそうです・・・つまり、復興予算は、運用面の要綱が無いという欠陥予算だということを認めたということになります。このことは、現在も引き継いでいるのが悩ましいところです。

 さて、ここで被災地の現実と、被災地以外の認識のズレが出てきます。
 上述した欠陥予算は、マスコミでは国の被災地復興政策として華々しく報道されているのです。
 しかし、欠陥予算は、欠陥であるがゆえに、運用面の要綱く、事前の政府のルールや基準が優先され、復興に必要な事業には使うことができないわけです。
 その結果、被災地に予算配分されず、挙句の果てに被災地に復興予算が使われない現象がおきたのでした。

 そうして、東松島市の場合ですが、2012年夏に問い合わせた時点で、被災地で復旧のために必要な事業を国に提出すると、頑張って半分認められるが精いっぱいだそうです。
 その他は残りは認可されずに、復旧すら遅れているのが現実です。
 そんな中、復興予算が余って、被災地以外に使われるという背景があるのはなんとももどかしい限りですが、それが現実です。

 そんな被災地の現実など知ったことが無いのが復興庁です。
 復興庁は、書類のチェックを重視し、本当に被災地に必要なものは何かをみません。
 ですから、総理大臣を始めとしたお偉方が来ても、被災地にいって、うまくいっている見たい部分だけを見せて、現実のどす黒い部分から遠ざけ、どんどん問題を深刻にしていきます。
 阪神淡路の震災にそうだったように、これからどんどん自殺者も出てくるでしょう。役所の方々は、見ているようで、被災地の悲壮感を現場にいって感じられないようです。
 まぁ、安陪総理は故郷を破壊された心の痛みなど微塵も理解できないのでしょうし、理解してもらうよりも適切な復興行政をしてもらった方がいいのは確かです。
 しかし、現実は厳しく、上述したような、被災自治体に丸投げなんですよね。
 そして、被災自治体は、被災者にそのまま丸投げし、被災者は訳のわからないまま目先の判断しかできなくなって、10年後、20年後限界集落になるような復興計画をたてていくわけです。

 なんとも、がっかりです。


 でも、希望はあります。
 今、何とかやっていけているのは、行政以外の被災地に対する、NPO法人をはじめとしたボランティアの方々の支援です。
 行政の足りない部分をたくさん支えられています。
 ほんと、被災地で、いろいろ努力してがんばってもがんばってもダメなことはたくさんあります。
 そんなとき、ボランティアの方々の支援に何度も心が精神的な支えになっています。
 感謝しています。
 ありがとうございます。

 

質問、感想などは、東日本大震災 被災地 復興へ 掲示板などに書き込みしていただければ、モチベーションもあがります(笑)


 

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