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呟き尾形の色の心理学 第71回
 民族と色 日本人の感性と色

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★
 ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
《こんにちわの、めぐたんなのだ(⌒o⌒) 》
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回は何についてなの?」
『今回は、日本人の感性と色について話をしたいと思います』
《ふに、日本には、かんせーといろという色があるのか。
 うるさそうだし、虹みたいに十も色があるのか?d(゜ο゜)o》
 歓声十色じゃなくて、感性と、色だよめぐだん。
《ちょっとした聞き間違いなのだ》
「日本人は、色について、どんな感性をもっているの?」
『日本には、能装束の雅といった動を受け入れる感性と、茶道の詫び、
寂びにあるような静を受け入れる感性があります』
「つまり、日本人の感性は、動と静の両極を受け入れること
ができるってことだね」
《ふに、どーゆーことなのだ?(?ロ?ノ)ノ》
『日本人の感性が非常に豊かであるということです。
 そして、その豊かさは、世界に類を見ないという人もいます』
《なんでなのだ?(?_?)》
『そうですね。
 いろいろあるといわれていますが、中でも、日本の緯度の高さ
かなどの理由から、四季の循環が規則的におこなわれやすいとも
言われています』
「季節の変化が自然の醸し出す色彩も豊かにするってことだね」
『はい。そのとおりです。
 そして、日本は、明治に入るまで行われてきた天然染料による
染色は、その豊かな風土から生まれた多くの植物染料 が源となっ
ています。
 この染色で、色の濃淡をつける技術を行っていたのも、四季の移
り変わりによる 微妙な色彩変化に囲まれて人々が生きていたとも
いえます』
 そうした、背景から、”雅の動””詫び寂びの静”という両極
のもの、相反する美しさを日本人は、生活の中でふれていたという
ことが主な理由ってことだね。
 シニョール 呟き尾形。
『そうですね』
「いつぐらいから、日本人はそんな感性になったの?」
『実際のところはわかりませんが、
 日本人の色彩感覚が古い時代から、豊かであったことは、
さまざまな史跡や文献資料などわかります。
 1972年に奈良県明日香村で発見された高松塚古墳壁画
の色使いの豊かさ眼を惹くものがあります』
《なんでなのだ?》
『その壁画に描かれた、男女の人物像の着物の色などは彩が鮮
やかで、赤、青(群青)、緑、黄色、赤褐色(オレンジ)白な
どがつかわれています。
 これは、色彩学的に置き換えると、色料の三原色(赤、青、黄
色)、色光の三原色(オレンジ、青、緑)そして、無彩色の白と
一致します。
 しかも、絶妙なバランスで配色されているのです』
「色のことをいろいろわかっていないとできないよね」
『そうですね。
 そして、高松塚古墳が作られたのは、7世紀末から8世紀初め
と考えられています。
 日本人はこの時代からすでに、色に対する感覚が培われている
ことが判断できます』
《ほえ〜、なんかすごいのだ(@0@)》
『ほかにも、古くから日本人は、色について豊かな感性があった
ことを示すものもあります』
「たとえば?」
『たとえば、平安時代の貴族たちは、美しい着物を何枚も重ねて
着、その色を合わせて楽しんでいたとされています。
 また、着物の表地の色の取り合わせを、かさねの色目といいま
すが、この一つ一つの取り合わせに、四季折々の植物や花の名前が
つけられています。
 また、江戸初期の画家、狩野探幽の力作、新三十六歌仙は、平
安末期からカマクラ前期の著名な歌人を描いた絵で、十二単衣の
図がトーングラデーションで美しく描かれています』
「極端なだけじゃなくて、その極端同士がつながっているって
ことだね」
 そうだね、”雅の動””詫び寂びの静”ばかりでなく、両極を
つなぐ、微妙な色彩の変化を感じ取るできる日本人の色彩感覚は、
他の国では見られないだろうね。
 ムーシコス君。
『そうですね。
 日本人は、こうしたことが、普段の生活の中で、当然のように
受け入れられたのですから、自然体であるところが、外国の人を
驚かせることすらあるそうです。
 世界の国々の親日的な人々にとって、日本人の色彩文化は愛す
べきものです。
 しかし、外国にいるかぎり、日本との光の差異や民族的な視細
胞の違いなどはいかんともしがないのが現実です。
 その現実の前に、外国人が日本人の感性を理解するのは、大変な
努力が必要なはずです』
「なんだか、日本の環境が日本人の色の感性を培ったんだね」
《でも、最近はちがうような気がするのだ(◎−◎)》
『たしかに、最近は、季節感が薄れ、日常生活の中で、本来の自
然から遠くなってしまいがちな現代ではありますね。
 だからこそ、日ごろから日本の四季をいしきすることで、古来から
ある日本人の色の感性を受け継ぎたいものですよね』
 それじゃ、アルデベルチ。









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