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ムーシコスのバイオリン第6回 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 さて、バイオリンを持たないムーシコスと、コヨーテを恐がっ
ているヒュース、そして2人を乗せたエクウスは、門番のコヨー
テの手から逃れて無事にレオーの城に入れるのでしょうか。
 魔獣レオーの城は大きな鉛色の岩山のようにそびえ立ち、城の
周りには流れる川のように大きくて深そうな堀があり、巨人が出
入りするために作られたようなおおきな門がありました。その門
の横にちょこんと座っている番兵が一人いました。番兵は、一口
で人を呑み込んでしまいそうな赤い口を開けて大あくびをしてい
ました。この番兵がコヨーテのようです。
 コヨーテは何度も何度もあくびをしていましたが、鼻をヒクヒ
クさせてムーシコスとヒュースの方を眺めていました。コヨーテ
はよほど目が悪いらしく、堀の向こうに何者かがいることには気
がついてはいましたが、それがだれなのかまでは分からない様子
でした。
「そごにいるのは誰だぁ? 何が用がぁ?」
「ぼくは、もがが」
 ムーシコスは大声でコヨーテの質問に答えようとしましたが、
ヒュースにそれを止められてしまいました。ヒュースはムーシコ
スの口を押さえました。
「シッ、静かにするブー」
 ヒュースはムーシコスに小声で叱りました。
「どうしてさ」
 ムーシコスは小声でいいました。
「コヨーテはとても目が悪いんだ。でも耳や鼻がとても良くて、
見つかったらあの大きな口でがぶりと食べられてしまうブー」
「そ、そうだったね。どうすればいいんだい?」
「おまえがバイオリンを弾いてコヨーテの気を引きつければいい
ブー。コヨーテがおまえの曲を気に入ったら城門を通してくれる
そうだブー」
「でも、僕にはバイオリンがないよ」
「なんだってブー! それでどうやって演奏するつもりだったん
だブー!」
 ヒュースは思わず大声で怒鳴ってしまいました。
「おお、そごにいるのが。クンクン。ごの臭いはまるまる太っだ
豚だな」
 コヨーテはヒュースの目の前まで鳥のように堀を飛び越え、
真っ赤な口でヒュースを一口でのみこんでしまいました。満足そ
うにげっぷをしながら腹をさすりました。コヨーテはまた鼻をヒ
クヒクさせてました。
「おお、他にも馬ど人間の臭いがするぞ。人間に馬! どごにい
る。近ぐにいるのは分がっでいるんだぞ。ででごい」
 ムーシコスとエクウスはただふるえる以外何もできませんでし
た。コヨーテはムーシコスの目の前で鼻をヒクヒクさせて、ムー
シコスのいるところを知っているように探し回っていました。
「ん、あっぢの方がら嫌な臭いがするぞ。狐野郎の臭いだ。あ
あ、あいづが来る前に門の前で立っでないどレオー様に告げ口す
るに違いない。おい、馬と人間そごで待っでろ!」
 そう怒鳴ると、門の前まで戻りました。ムーシコスはそれを見
てほっととしてヘナヘナと座り込み、エクウスもまた座り込みま
した。すると、ムーシコスは胸の奥から悲しみがこみ上げてき
て、滝のように涙が溢れていました。
 さて、コヨーテに食べられたヒュース。コヨーテに怯えきる
ムーシコスとエクウス。門が閉まった後に来たコヨーテの言う
「狐野郎」とは誰なのでしょうか?これからムーシコス達はどう
なってしまうのでしょうか?

★★★ムーシコスとクニークルスの座談会
「あわわわ、ヒュース君、食べられちゃったよぉ/(-_-)\ 」
 まったくだ。
「んぐ。少しは慰めてよ」
 原因は、君がバイオリンを忘れたことにあるんだ。
 大体、君は物忘れが激しすぎる。
「でも、クニークルス君が届けてくれるんでしょう?」
 さてね。エクウスのせいで、差はグングン広がったから追いつけないかも。
「ど、どうしよう。僕(-_-;)」
 コヨーテにたべられちゃうんじゃない?
「そ、そんなぁ」
 細かいことはきにしない。

 

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