第4話へ戻る 第6話へ進む 読むのをやめる(タイトルへ戻る) ホームへ戻る
ムーシコスのバイオリン第5回
さて、クニークルスはレオーの城に付く前に、エクウスに乗っ たムーシコス達に追いついて、バイオリンを渡せるのでしょう か? エクウスに乗ったムーシコスとヒュースは白い風のように森を 突き抜けていきました。森の木々はいつもは動かないでじっと周 りを見渡しているのですが、エクウスが来るとそそくさと身をよ じってエクウスの道を作ります。 「すごいや! 森の木がよけてる!」 嬉しそうにムーシコスは叫びましたが、ヒュースの方はエクウ スに振り落とされないように必死でした。震えているヒュースを 見て、ムーシコスはこんなに楽しいのになぜヒュースは恐がるん だろう? と思いました。 「恐くないのかブー」 「恐い? どうしてさ」 「この馬から落ちたらただじゃすまないブー」 「そんなこと考えるから恐いんだよ」 2人がそんな会話をしていると、緑のトンネルから抜け出し て、目の前の世界が、一気に広り、広い広い草色のハラッパがと てもまぶしく見えました。エクウスに乗ったムーシコス達は、森 の風からハラッパの風になりました。 ハラッパのずっと先には魔獣レオーの城が見えました。でもエ クウスがいくら走ってもお城に着きません。 「ヒュース君。あのお城はどのくらい大きいの?」 「このエクウスはとっても速いからもうすぐ着くと思うけど、今 見えている大きさの二つ分くらいだブー」 「そんなに大きいのかい?」 ゴーン、ゴーン、ゴーン・・・・ 不気味な錆色の鐘の音が3回鳴り響きました。白い時計塔の心 地よい銀色の鐘の音とは正反対です。今まで雄々しく見えない翼 を羽ばたかせて走っていたエクウスも怯えるようにいななき、立 ち止まってしまいました。 「ヒュ、ヒュース君ヒュース君。あの不気味な鐘の音はなんだ い?」 「宴の始まりブー」 「今始まったばかりなのかい? 何とか演奏はできそうだね」 「そうもいかないブー。あの鐘が鳴ると城の門が閉まってコヨー テっていう門番が城に入れてくれないブー。今日はあきらめて帰 ろうブー。コヨーテはとても凶暴で機嫌が悪いと、入ろうとする 者を食べてしまうブー」 「事情を話してもダメなの?」 「ダメだブー。でも・・・・」 「でも?」 「コヨーテは音楽がとても好きだブー。門が閉まってから城に入 るためにはコヨーテの気に入るような音楽を聴かせないと通して くれないブー。うまく行けばこっそり裏門から入れてくれる ブー」 「僕はラクスさんと約束したんだ。レオーの城に行くって」 ムーシコスは自分に言い聞かせるように言いました。ムーシコ スとヒュースとエクウスはレオーの城へ向かって進みました。 さて、バイオリンを持たないムーシコスと、コヨーテを恐がっ ているヒュース、そして2人を乗せたエクウスは、門番のコヨー テの手から逃れて無事にレオーの城に入れるのでしょうか。
★★★ムーシコスとクニークルスの座談会 第4話へ戻る 第6話へ進む 読むのをやめる(タイトルへ戻る) ホームへ戻る
|