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サイコミュ兵器

 戦争の初期の段階で、一部のザクのあげる戦果が異常に高い事に着目したジオン公国軍の一部の首脳は、パイロットの熟練以外にも要因があると考え始めた。
 事実、戦闘のデータを分析すると、光速に近い速度のビームを回避した可能な挙動もあった。
 それは、回避行動を事前に行われなければ不可能なことであった。
 そこで、そのような特殊な操縦をできたパイロットを便宜上、ニュータイプと定義した。
 ニュータイプとは、かつて、ジオンが提唱した洞察に優れた新人類を指す言葉である。
 ジオン公国軍はさっそく、その特性を軍事転用するための研究が開始された。
 当時、人間の潜在能力の開発を研究目的としていたフラナガン期間は、その要請に応じて、思考波によって、兵器を操作する兵器を開発された。
 思考波であれば、ミノフスキー粒子の干渉をうけることなく、双方向の通信が可能になり、それによって、機械制御も可能にすることができる。
 そうして、開発されたのが、サイコ・コミュニケーター。
 略して、サイコミュである。
 サイコミュシステムは、ミノフスキー粒子散布下における攻撃端末「ビット」の遠隔操作と、複数の端末を同時に制御するオールレンジ攻撃を可能とした。
 これは、人間の思考を兵器の制御に直接利用するということである。
 しかしながら、この兵器を利用するためにはニュータイプとしての特殊な能力が必要であった。
 このことは、サイコミュ兵器は、ニュータイプのパイロット専用兵器であったともいえる。
 実際、ブラウ・ブロ、エルメス、ジオングといった機体にはサイコミュが搭載されていた。
 それらの機体には、ニュータイプだと目されるパイロットたちが乗り込み、ニュータイプとしての能力の実在を証明するかのように、画期的な戦果をあげた。
 ただし、サイコミュ兵器の仕組みそのものは、パイロットに多大な負担をかけることも判明している。
 画期的な兵器であり、兵器としての実績も局地的とはいえ証明して見せた。しかしながら、1つの兵器が一年戦争の大勢に大きな影響を与えるはずも無く、与えた影響も微々たるものであったことも事実であった。