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宇宙世紀

 宇宙世紀とは、人類が宇宙開拓時代を開始した年を元年とした年号である。
 旧世紀末。地球環境の急激な悪化と人口の爆発的増加の抜本的な打開策として、人類は、地球連邦の設立させ、宇宙移民を選択する。
 宇宙移民計画の骨子は、当時90億を越える人類の殆どすべてを宇宙に住まわせるという壮大なものだった。
 さらに、人類の大規模な宇宙移民によって、地球の環境回復も視野に入れたものだった。
 新たな開拓地であった、宇宙というフロンティアは、宇宙に移民することが一種のステイタスにまでなっていった。
 この、宇宙移民をもって、人類の歴史は西暦から、宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー)に移行した。 
 これは、人類が大後悔時代以来の、当時の人類の想像を絶する広大で未開拓のフロンティアを得た事を意味していた。
 人類は、月を起点として宇宙への進出を進め、月面に恒久都市として、フォン・ブラウンを建設した。
 さらに地球周辺の数箇所存在する、重力の安定した空域、ラグランジュポイントにスペースコロニーを建設していた。
 恒久基地が建設されていた月面には、コロニー建設のための施設が作られ、月の豊富な地下資源を利用して、コロニー建設が進められた。
 そして、大気汚染の原因となる重化学工業の施設などの多くは宇宙空間に移行していき、それに伴うように、宇宙は新たな商工業の拠点が生まれていった。
 宇宙移民が推進され、半世紀あまりの間に、人類の総人口は、110億を突破し、宇宙移民者は、90億と、人類の総人口の8割以上を占めることになった。
 これは、新たな文化や環境を生み出すことを意味していた。
 そして、宇宙移民は、新たなフロンティアをえて、経済の発展途上をもたらした。
 しかし、やがて、移民者が当初の目標に達した頃コロニーの新規建設は凍結され、宇宙移民者は激減した。
 それは、宇宙移民がもたらした経済の発展途上の時代は幕を閉じたことを意味した。
 やがて、地球連邦政府部内を中心に、地球に住む人々が上流階級であるという風潮が発生した。
 この風潮は当然、政策にも現れ、宇宙移民者は搾取される側として位置づけられ、宇宙移民者と地球連邦政府の間に修復できない軋轢を生み出したのだった。