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連邦軍

 連邦軍は、各国の軍事力を接収する形で成立した。
 それは、大規模な軍事条約を全地球規模で行うようなもので、全世界の軍隊が参加する多国籍軍のようなものだともいえた。
 ただ、違うのは、多国籍軍の指揮権は、多国籍軍が成立したあとでも、各国の指揮権争奪合戦になりかねないことが多々あったのに対し、連邦軍の指揮権は、連邦軍の幕僚会議にあったということである。
 幕僚会議は、地球連邦政府による、安全保障会議が統括していた。
 これは、軍人が政治に介入すると、民主政治の危機に陥るという歴史的な経験を踏まえたものであり、いわゆるシビリアンコントロールを堅持する方策をとっていたわけである。
 しかし、それは、同時に地球連邦政府の利益を最優先するという、地球連邦軍の体質を決定するものでもあった。
 その体質は、その後、宇宙移民の進展するにしたがって、当初の宇宙移民の基本理念が形骸化していった。
 つまり、地球連邦政府が宇宙移民した人々を支配するという、図式が出来上がったのだ。
 当然、宇宙移民者は反発し、正統な権利の主張をしても、連邦軍によって、もみけされていった。
 そうして、連邦軍は、地球連邦政府の支配の道具となっていった。