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星一号作戦
 

  地球連邦軍はドズル・ザビが指揮するソロモンを攻略し、ソロモンが陥落すれば、ジオン公国は降伏するであろうと考えていた。
 実際、デギン公王はレビル艦隊の前に姿を現し、和平交渉を行おうとしていたことから間違いがないといっていいだろう。
 しかし、地球連邦軍とレビル将軍の思惑は外れた。
 ソーラレイ発射によりジオン公国の抗戦ののろしが上げられたのだ。
 ソーラレイ発射によりデギン公王は戦死、地球連邦軍もレビル将軍を含め艦隊の30%を失った。
 ジオン公国軍(ギレン総帥)にとっては 目の上のタンコブである父デギンの戦死とジオン公国の実権の取得、更にレビル将軍を戦死させた上に地球連邦軍艦隊の30%を一気に壊滅させ、まさに一石四鳥という形になる。
 ジオン公国軍は連邦軍の総戦力は、ソーラレイ照射により かなり減っていたと考えた。
 しかし、連邦軍艦隊は、残存兵力を結集して、ア・バオア・クーに攻め上がった。

 この連邦軍の結集に、ジオン軍は、Nフィールドから総力を挙げて侵攻してくるものと予測した。
 Nフィールドでは泥試合ともいうべく戦闘が繰り広げられていた。
 しかし、Sフィールドから援軍をNフィールドへ追加し、宇宙空母ドロスを中心とする防御網を構成し、数で勝るジオン公国軍が優勢に戦闘を進めた。
 地球連邦軍の機能が混乱している時にギレンはジオン公国の本拠地 サイド3の戦力と、キシリアが指揮する月面都市グラナダの戦力をア・バオア・クーに集結させ抗戦の構えを取る。
 地球連邦軍は現地の最高指揮官を失った混乱の中、艦隊を再編成した。
 第一大隊を、再編成後、Sフィールドへ展開させ、主力の第二、第三大隊をNフィールドへ侵攻させる。
 一方の地球連邦軍はホワイトベースを基点に再集結を開始し、かなり混乱したまま体制を整えてた。
 指揮官不在 攻撃目標も不明 指揮系統もバラバラの中、地球連邦政府は星一号作戦続行を指示したのだった。
 星一号作戦は、宇宙要塞ア・バオア・クーをやり過ごして直接サイド3本土に侵攻する作戦だったが、地球連邦軍本部は、機密とされた作戦内容を知る現地の最高指揮官であるレビル将軍を失ったこと、ソーラ・レイを再度使用される事への恐れなどから、迅速かつ決定的な戦果を得るために作戦計画を変更、作戦時間を大幅に繰り上げてア・バオア・クーに目標を変更した。
 攻撃目標は、ア・バオア・クーの他に、サイド3や月面都市グラナダが攻撃対象として挙げることが出来る。
 しかし、その中で、ア・バオア・クーを選定した理由は、サイド3や月面都市グラナダには、民間人がいるエリアだったからだと考えられる。
 もちろん、基本的に月面都市攻撃は南極条約によって禁止されている。
 星一号作戦は、別名、ア・バオア・クー攻略戦とも言われる。
 星一号作戦の「星」 はア・バオア・クーを指し、戦場の目標となった、ア・バオア・クーは、月面基地のグラナダとともにジオン本国防衛の最後の拠点であることから、ギレン・ザビは妹キシリア・ザビと共にここで直接指揮を執り、この戦闘は両者の総力戦となった。

 当初ジオン軍は、Nフィールドで地球連邦軍本隊の攻撃を退けて優位にたっており、勝利の兆しが見えたとする余裕すらジオン軍司令部には見られた。
 優勢に戦いを進めていたジオン公国軍だが、Nフィールドから総力戦で攻めてきていると思っていた矢先、25隻から構成される地球連邦軍第一大隊がSフィールドから侵攻を始めた。
 多くの戦力をNフィールドへ投入していたジオン公国軍は、わき腹を突かれる状態となり、あわててシャア・アズナブル大佐率いる部隊で迎撃に向かわせる。

 その頃、司令部では、「父親殺しの大罪を犯した」としてキシリアが司令席のギレンを殺害、文字通り「後釜に座って」司令席に着いた。
 このことは、指揮系統の混乱を発生させ、ジオン軍の防戦に隙を作ることになった。
 地球連邦軍は激戦の中、ギレン殺害に伴うジオン軍指揮系統の混乱に乗じてジオン軍における防衛の要である2隻のドロス級大型空母(ドロス、ドロワ)を撃沈し、さらにSフィールドの別働隊もガンダムの勇戦もあってア・バオア・クー内部に侵入、ジオン軍は勝利の兆しどころか敗色が濃厚となった。
さらに、Sフィールドから、ア・バオア・クー上陸を目指していた地球連邦軍艦隊は、シャア・アズナブル大佐の防御網をすり抜け、上陸に成功。
 
 当初、優勢に戦闘を進めていたジオン公国軍だが、ソロモン攻略戦の時と同様、地球連邦軍の行動を把握できず、Sフィールドからの攻撃に対応できなかった事と、一瞬の指揮系統の乱れによるスキを付かれ、一気に劣勢なってしまう。


 これをうけ、ザビ家最後の指揮官であったキシリアは、グラナダに一部温存した戦力とサイド3も脱出準備中にシャア(キャスバル・レム・ダイクン)により暗殺(公式記録では乗艦の撃沈による戦死)される。結果的には戦死 ジオン公国を治めていたザビ家は全員死亡となった。
 これによりザビ家は事実上滅亡、ジオン軍も壊滅状態となった。
 一方の地球連邦軍も、主戦力のほとんどをこの戦いで使い果たしてしまう。ホワイトベースとその搭載MS隊もア・バオア・クーに不時着の末撃破されるが、乗組員たちはかろうじて脱出に成功した。
 こうして、星一号作戦は終了を迎えた。