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国民保護法と原子力発電

 

 

 国民保護法と原子力発電

 まず、国民保護法は、正式には「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」というそうです。
 いわゆる有事において、国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にすることを目的としているようです。
 そのために、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置を事前に規定しておくとしているようです。
 国民保護法という名前ではありますが、その内容は、日ごろから有事を想定した日常生活からはじまることになります。
 そのために、役所や テレビ局、病院などは「戦時」のための計画を作り、「戦時」にむけて組織を整える義務が生じます。
 これを、やはり、万が一のときの準備は必要とするか、日ごろから、有事の準備とするから、戦争という意識を日常生活に植えつける行為とするかは、意見の分かれるところでしょう。

 さて、国民保護法において、いくつか疑問点があります。
 それは、何を持って有事とするかです。
 法案においては、日本政府が、「武力攻撃が予測されるに至った事態」とされています。
 一見問題がないようにもおもえますが、判断材料が事実とことなったり、捏造だったときの問題があります。
 疑心暗鬼になってはいかがなものかとおもいつつ、イラク戦争において、アメリカの大量破壊兵器がある証拠は嘘であったことは、アメリカ政府も認めたことです。
(実は、日本政府はこれについて、公式のコメントが見当たりません)
 日本は、外国からの情報で踊らされる可能性が非常に高いということです。
 その対策が立てられないまま、政府の判断で、有事とするのは、不適切だといえるでしょう。

 また、国民保護法で指摘されているのは、いわゆる有事にのみ適用する法律ではないことが問題視されています。
 これは、平時、つまり、日常生活において、役所や テレビ局、赤十字病院などは「戦時」のための計画を作り、「戦時」にむけて 組織を整え、訓練をしなければなりません。
 つまり、有事にそなえて、現在の日常生活を有事を意識した社会を作り変えるのも目的です。
 これは、
 第34条(都道府県の計画)、
 第35条(市町村の計画)、
 第36条(指定公共機関及び指定地方公共機関の業務計画)、
 第41条(組織の整備)
 を根拠としたものです。

 また、それに伴い、第42条(訓練)を根拠に、住民参加の避難訓練も実施されますし、自主防災組織や地域ボランティアが協力を要請される場面も考えられます。
 もちろん、建前上、「国民の協力は自発的な意志にゆだねられ強制はしない」となっていますが、協力しないと、土地や家屋が没収されたり、罰金を取られたり、懲役を課されるなど、矛盾した内容も見受けられます。

 この法案で国民保護の中心にあるのは「避難」ですが、、有事において、保護の対象としてまっ先に対応しなければいけないはずの高齢者や障害者、外国人のために、特別な手立ては考えられていません。
 さらに、意見を求められた鳥取の自治体は、住民の全員避難は不可能と答えています。
 また、有事に、避難用の幹線道路を自衛隊が優先的に使うべきと総理大臣が判断すると、住民の避難はさらにむずかしくなる現実がありますが、それについての対策は立てられていないようです。

 また、第43条(啓発)を根拠に、「戦時」に備える意味を国民に理解させる教育をすることになっています。
 学校やマスメディアは、「国防意識」や「愛国心」を強調し、有事の備えをしようとしているようですが、過剰な防衛意識や愛国心は国を暴走させることが懸念事項といえるでしょう。
 さらに、学校やマスメディアにおける啓発という名の戦時の教育は、果たして正常な国家の政策だといえるでしょうか?

 上記のような問題があるなか、 原発の万が一の事故はそうていしていても、原子力施設が攻撃された場合への対処方法には現実味がないという指摘もあります。
 各地に原子力発電所がある日本では、戦争になれば狙われる可能性は高く、そのときの想定した対処方法がありません。
 その結果、この法律では原子力施設への攻撃が、事実上、想定外になっている可能性があります。






 

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