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データ改ざんについて(東京電力の場合)その2

 

 

 ●データ改ざんについて(東京電力の場合)その2

 さて、2007年3月23日の記者会見で、電気事業連合会の勝俣恒久会長(東京電力社長)は、「原発を立地する地域の方々に心配を掛け、電力業界の信頼を損なったことを重く受け止め、深くおわびする」と陳謝したそうです。
 電事連会長と東電社長としての自らの進退については「経験、体験をいかに今後の安全に生かすかに掛かっている」と述べるにとどまり、その後3月29日に、一連の不祥事の経営責任を明確にするため、勝俣恒久社長ら経営陣に対して報酬削減などの処分を実施する方針になったそうです。
 これによって、東京電力は、社会的信頼を失った責任を取ったつもりになりました。
 が、しかし、3月末に提出することになっていた報告書によると、翌日の3月30日、福島第一原発2号機で、1984年、起動中の原子炉が緊急停止したことを国に報告せず、隠ぺいしていたことが分かったと発表したそうです。
 これについては、定期検査中だった東電福島第1原子力発電所2号機(福島県)で1984年、100人前後が原子炉格納容器内で作業中に原子炉が臨界に達していたことも明らかになったそうです。
 なんでも、福島第1原発2号機では1984年10月21日、機器点検のため、いったん原子炉を起動して臨界に到達したそうです。
 その後、制御棒を挿入し、未臨界状態に戻す作業を行ったが、炉内温度の急変などの影響で、瞬間的に再臨界になり緊急停止が働いたそうです。
 臨界の際は、格納容器内で中性子が増えて被曝(ひばく)する恐れがあるため、容器内に作業員がとどまることは禁じられているはずなのですが、このときは100人前後が容器内にいたそうです。

 また、3号機で1978年、臨界事故が起きた可能性が高いとされたトラブルについては「原子炉は臨界状態だった」との見解をまとめたそうです。 責任を取ったとたん、新たな隠蔽が発覚したというのは、なんとも、皮肉であると同時に、私たちはどのように原子力発電の情報公開の信頼すればいいのか、わからなくなってしまいます。
 
 ほかにも、1996年6月、試験運転中の柏崎刈羽原発6号機(新潟県)で、制御棒4本が抜けるトラブルがあったことが判明しました。
 この6号機は、これまで制御棒抜けが多発している沸騰水型軽水炉(BWR)ではなく、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)だそうで、このタイプの制御棒脱落が判明したのは初めてだそうです。
 臨界には至らず、公表されていなかったそうですが、これで原子力発電は安全であるといえるのかは、正直疑問です。

 原発を持つ10社のうち、原発に関する不適切事象がないとしたのは、北海道、四国、九州電力の3社だけというありさまです。
 各社はこのほか、水力、火力、原子力の各発電施設でのデータ改ざんなどを報告しており、隠ぺい体質が改めて浮き彫りになったわけです。

 で、東京電力は30日、原子力発電所などをめぐる一連の不祥事発覚を踏まえ、勝俣恒久社長と田村滋美会長の報酬をそれぞれ4月から3カ月間、30%削減するそうです。
 また、発電所の担当役員3人の報酬を3カ月間15%削減し、減給やけん責、訓告、厳重注意などを含め、管理職以上の計64人を処分するそうですが、そんなことより、どんな風に社員の意識改革やマニュアルの見直しをし、隠蔽体質を改善するか、どんな風に原発から発信される情報に信頼があるのか証明するのかということを明らかにして欲しいです。

 といいますのも、12事業者全体の報告数を集計した電気事業連合会によると、原子力発電所を持つ7事業者で97事例、火力の10事業者で128事例、水力の10事業者で81事例の計306事例に達しました。
 これで、これからの公開される情報を信じられるようにするのかは疑問です。
 そこで、隠蔽体質を直すためには、外部による監視の目が必要だといえるでしょう。
 私は、この酷すぎる現状を知り、原発は安全であるという判断はできなくなりました。
 これを機会に私たちが原発の情報公開に関心を持つべきなんじゃなかろうかと思いました。

 いえ、 東京電力の勝俣恒久社長は、「もう後がないという意識を持って再発防止に取り組む」と、記者会見でそう語ったことから察するに、どうも、原発は最初から後が無い状態と認識はしてなかったということが伺えます。
 う〜ん、原発は最初から後が無い状態と認識してやってもらっているものと思っていたんですが、ちがったんですね。


 

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