トレーニング 風刺法
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傲慢な狐
むかしむかし、傲慢な狐がおりました。
傲慢な狐は、とても悪知恵がはたらき、体を動かして働くのは
バカのすることだと思っていました。
ですから、傲慢な狐は、いつも誰かをだまして、楽をして、得
をしようとすることばかり考えていたのです。
ある日、狐は、喉が渇いて泉に行くと、他の動物たちが水を飲
んでいました。
狐は、この場所を独り占めにしたいと考えて、一つずるい事を
思いつきました。
「おっほん」
傲慢な狐は、一つ咳払いをした後、泉の水を飲む動物たちに演
説し始めます
「ここで水を飲んでいる諸君。
先日、ここに虎が来たのをしっているだろうか?」
「そんな、虎なんてこのへんにいないよ〜」
そういったのは、白い兎でした。
「それはそれは兎君、自信ありげに言うけれど、何か根拠はあ
るの?」
「この辺で虎が出るなんて話をきいたことがないからさ。
第一見た者がいるのかい?」
泉で水を飲む動物たちは一斉に首を横に振ります。
白い兎は、それみたことかと得意顔です。
「それはそうだろうね。
だから、そんなに涼しい顔をしていられる。
だけどね、虎にあえばここにいるものならみんな食べられて
しまうよ」
「たべられたわけないでしょ」と白兎。
「おや?
君は、この泉にいる動物がこのあたりにいるすべての動物
だとおもっているのかい?
ここにいない動物は、どこにいる?
虎にでもたべられたから、いないとはいえないか?
虎とあえば、虎はその動物を食べる。
だから、虎を見たものがいないのは当然だ」
「誰も見た事もないことがないということが、虎がいない証拠
になるさ」と白兎。
それに対して、狐は自分を指差しました。
「私が見たのですよ。
そして、私が君達にこうして警告をしているのです」
狐の言葉を聞くと、湖にいた動物たちが一斉に顔を青くして
逃げ出します。
(しめしめ、うまくいった。
これから、この場所は私のものだ)
そう狐が舌なめずりをすると、草陰から音がしました。
でも、狐は泉が独り占めにできてどうせ風だろうと思って高をくくっていました。
そうしているうちに、狐の周りが暗くなりました。
(おや?
日が暮れるには早いぞ。
いや、きっと雲だろう)
狐は振り返りもせず、そのまま泉の水を飲み続けます。
すると、一滴の生暖かい水が落ちてきます。
(おや、ずいぶんとぬるい雨だ)
そう思いながら、狐がやっと後ろを振り向くと、そこには、大きくて、真っ赤な口から、大きな白い牙をみせる、大きな虎がいたのです。
「ぎゃぁぁぁぁ!
虎だぁぁぁぁぁ」
狐は、脱兎のごとく、走って逃げ出しました。
それ以来、狐は、草が風で揺れたり、雲でお日様が隠れて暗くなるだけでもビクビクして逃げ回っていたそうです。
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★★★
レトリックトレーニングということで、風刺法でトレーニングしてみまし
た。
風刺というと、ほかの事にかこつけて、相手を批判したり、嘲笑したり
することです。
皮肉と風刺の違いですが、皮肉はわざと反対のことを言う修辞法です。
それに対して、風刺は、別のものや事柄に結びつけて、対象を批判あ
るいは、嘲笑します
さて、今回のトレーニングが、欲張りな悪知恵に対する風刺になって
いればいいのですが・・・。
それでは失礼いたします
で、この風刺法については、
修辞法について:皮肉法、風刺法を参照してください。
呟き尾形 2006年10月1日 アップ