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●それぞれの朝 グレイ・ルース少尉の場合
 全身を汗でぬらして目覚めたグレイ・ルース。
 汗の意味を表すのは、初めて実戦に出たときのことを夢に見たからである。
 ルースはなぜあの時の夢を見たのかは自覚している。
 アリエスという諜報員が再びルースの目の前に現れたのだ。
 ホンロンとともにいた女性。アリエス。
 彼女と出会い、そして、別れてからそれほどの時間は立っていないはずなの
にアリエスのことが妙に懐かしくなる。
 自分は成長しているだろうか?
 ホワイトフェザー隊はペガサス級のネイルアーガマの他に、サラミス級の巡洋
艦によって編成されている。
 大気圏突入が可能なのはネイルアーガマのアイアンホースのみだったため、
2隻の巡洋艦は一時的に別の任務につくことになった。
 地球に降りてきてから、同僚のユーロ・ビンセントもいない。
 周りのMSパイロット、シンやリュージなどのACEパイロットの戦い振りを目の
当たりにして、ルースは焦っていた。
 そんな時、ルースの部屋にドアホンが響く。
「は、はい」
 ルースは急いで服を着ながらドアホンを鳴らした人物が写るディスプレイを見
ると、そこには、アリエスがいた。
「その声は寝起き?」年下の男をからかうような笑顔のあと、アリエスは言葉を
続けた「艦内を案内してくれない?」
 ルースはなぜか胸がときめいた。

●それぞれの朝 アグ・ダムス少尉の場合
 アグ・ダムス少尉が朝食をとりに食堂に向かっていると、不意にグレイ・ルー
ス少尉と昨日、シン・イチジョウ中尉に救出されたパイロット、アリエス少尉の姿
を見つけた。
(ほう、ルース少尉もなかなかやるな)
そう思い、ルース少尉をからかい半分にその後をつけてみることにした。

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