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小説を書こう!
第2回
 投稿小説 7・3分けのエンジェル 第1回

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★
 ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
『ごぶさたしました、呟き尾形です』
「さて、今回は、投稿小説を掲載します。全3回で、予定では週間で発
行予定です。
「投稿していただいた方は、いるまがわさん。
 ジャンルは児童小説。児童小説って結構難しいよね?」
『そうですね。
 読者対象が児童と言うこともあり、使える単語もそれなりに限定され、
簡単な言葉で、言い回しも分かりやすく、イメージしやすく書くことが
要求されますからね』
 そうそう、描写の書き方については、来月上旬発行予定だよ。
 それじゃ、”7・3分けのエンジェル”第1回はじまりはじまり。

 作者名:いるまがわ
 ジャンル:児童小説
 メールアドレス:irumagawa@clubaa.com
 小説の題名:7・3分けのエンジェル(第1回)

 うららかな春の日差しの中、家の二階で圭介は横になっていた。時々カレン
ダーを見ては、ため息をつく。
(もうすぐ新学期かあ……)
 圭介は中学二年生だ。そろそろ進路指導なんてものが始まるはずで、友だち
のあいだでも進学の話がちらほらと出ている。成績のいい連中は、高校のリス
トと模試の偏差値を突き合わせ、早くも闘志を燃やしているし、部活に熱心な
ものは、誰先輩がどこの高校にスカウトされたとか、やかましい。
 しかし圭介はその手の話が苦手だった。勉強をしないから成績はたいしたこ
とはないし、2年間、部活はやったことがない。正確に言うと一週間だけテニ
ス部に在籍したことがあるが、雑用がつまらなくてすぐ辞めた。と言って、屋
上でたばこを吸ってる奴らとも話が合わないので、こうして家でゴロゴロとし
ているのだった。
 圭介が足でテレビのスイッチを消して、ふと窓の外を眺めると、何か鳥らし
きものがよたよたと右に左に飛んでいた。
(カラスかな?)
 と思ったが、どうも様子がおかしい。
 その鳥らしきものはよたよたしながらだんだんこっちへ近づいてくる。そし
て、開け放たれた窓から飛び込んできたとき、圭介は自分の目を疑った。天使
だった。
 天使だった。それを天使と呼ぶならば……だ。
 はだかでちんちくりんの天使体型で、確かに羽が生えている。しかし顔が異
様だ。ひねくれた目つきの中年顔で、への字に曲がった口元。おまけにとぼし
い髪が7・3に分けてある。
「鈴木圭介君じゃね?」天使(?)は、ひねくれた声で言った。
「今回、天帝の命により君の望みをかなえることとなった。なんでも願いを言
いなされ。」
 圭介はあっけにとられたが、それでも一応聞いてみた。
「あの…あなたは天使なんですか?」
「他に何に見える?」
 天使は嫌な顔をした。
「えーと…僕の望みをかなえるって…。」
「あー別に大したことではない。天帝のきまぐれだ。だから世界の王になりた
いとか大それた願いはやめておけ。」
「なぜ僕のところへ?」
 そうだ。なぜ圭介なのだろう。
「それについてはチト説明がいるな…。」
 天使はめんどくさそうに説明を始めた。
「この世の中はお前を中心に回っているのだ。」
「ぼく!?」
「何にでも中心というものがある。お前こそがこの世界の中心なのだ。」
「で、でも僕は何のとりえもない、平凡な中学生だよ。成績も悪いしスポーツ
もできないし、顔も十人並みだし…。」
 十人並みというところに、圭介のささやかなプライドがあったのだが、天使
はそれには気づかず、
「あー、中心ということをそんな大げさに考えることはない。北極点や南極点
に何か特別なものでもあるか?んん?単に理屈上の位置の問題なのだ。とにか
くお前が死ぬまでこの世界の中心はお前だ。」
 と、つぶれた鼻の上のひねくれた目で、圭介をにらんだ。
「天帝はお前の存在に興味を持たれ、願いをかなえるようにわしを遣わしたの
じゃ。宝くじに当たったものと考えるがよい。さっさと望みを言え。」
 わかったようなわからないような話に圭介は頭を抱えたが、それでもかねが
ね考えていたことを口に出してみた。
「人生をやり直してみたい……。」
「それはわかっておる。」天使はこともなげに言った。
「お前はどんな人生にしたいのだ?言っとくが世界の王なんてのは…。」
「そんなことは言わないよ。ただ、僕は平凡でとりえのない人間だから、何か
一筋に一生懸命生きてみたいんだ。」
「で、具体的に何をやりたいのだ?」
 こう言われて圭介はぐっと言葉につまってしまった。自分は何をやりたいの
だろう。
(そういえば……)
 圭介の幼なじみで大介というのがいた。名前が野球向きだということで、小
さいころから父親に鍛えられていたっけ。風のうわさでは甲子園をめざしてい
るらしい。
「野球選手になりたい……。」
「ほう。メジャーリーグでもめざすのか?」
「まさか。高校野球に燃えたいんだ。」
「よかろう。」
 天使はどこから取り出したのか、杖をひとふりした。すると杖の先から白い
光が四方八方に走り、恐るべきことに光に当たったものはすべてちりと化して
いった。その光はあらゆるものを突き通り、遠くへ行くほど広がった。建物も
車も人間も何もかも消滅していった。
 一階に居たはずの圭介の母が、ちりになっていく。
「母さん!」
 圭介は叫んだ。
「待ってくれ!僕は人生をやり直したいだけで、世界を滅ぼしたかったんじゃ
ない!」
 落ち着きはらって天使は言った。
「お前の人生をやり直すということは、一度世界を粒子に戻す必要がある。お
前が生まれた時点で再構成されるから、安心しろ。」
 そして圭介の人生はふりだしに戻った。

★★★
「わぁ、第1回からすごいね。世界を粒子に戻すんだって」
 なんの変哲も無い主人公が世界の中心というのもすごいね。
『そうですね。どんなジャンルの小説でも、読者に”すごい”と驚かせること
が面白い小説の条件だと思います。
 タイトルにあるように、天使といえば、キューピットのようにかわいらしい
イメージをする読者に対して、おじさんくさい7・3分けの銀行員のようなイ
メージのキャラクターを登場させるのも読者を”すごい”と驚かせる一つだと
思います。
 特に、タイトルについたくらいのキャラクターですから、重要人物だな。
 と読者にもアピールできていて良いと思います。
 また、さりげなく、科学的根拠のある説明なども良かったと思います』
 ただ、”粒子”とか”偏差値”とか、”南極”、”北極”とか、どのくらい
の年齢の児童を対象にしているか分からないけれど、難しい単語があったよね。
「粒子ってなにかとか、簡単な説明があってもいいよね」
 まぁ、何処までが常識なのかは、判断の難しいところだけど、対象年齢を絞
っているのであれば、ある程度察しはつくんじゃないかな。
『もちろん、難しい言葉については、児童小説というジャンルだからこそ指摘
されるポイントかもしれません。
 しかし、これは難しい言葉を使って、分からない読者に伝わらないよりも、
多少、くどくても、説明が入るのは、どのジャンルでもいえることだと思いま
す』
 さっきも、言ったけど、何処までを常識とするかは難しいけどね。
『そうですね』
「次回がどうなるのか楽しみだね」
 また来週。アリベデルチ


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