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小説を書こう!
第3回
 投稿小説 7・3分けのエンジェル 第2回

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★
 ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
『ごぶさたしました、呟き尾形です』
「さて、今回は、前回に引き続き、いるまがわさんの投稿小説を掲載し
ます。全3回で、今回は第2回」
 そうそう、描写の書き方については、来月上旬発行予定だよ。
 それじゃ、”7・3分けのエンジェル”第2回はじまりはじまり。

 作者名:いるまがわ
 ジャンル:児童小説
 メールアドレス:irumagawa@clubaa.com
 小説の題名:7・3分けのエンジェル(第2回)

 産院で誕生した一人の赤ん坊を囲み、父親と母親が会話していた。
「圭介。いい名前だわ。将来はどんな風に育ってくれるかしら。」
「そりゃお前。野球選手だよ。親子でバッテリーは基本だぞ。」
 圭介は小さいころからキャッチボールとバッティングを仕込まれた。猛練習
のかいあって、小学校下級生で、リトルリーグの試合に出られるようになった。
そして、上級生になるころには、打って走って守れるプレーヤーとして、レギ
ュラーの座をつかんだ。
 十二歳の春がやって来た。このころになると圭介の追っかけみたいな女の子
が現れるようになっていた。
「圭介さん!がんばってーっ!」
 栗色の長い髪の少女が叫んだ。
 小学生最後の試合でも、圭介は手を抜かなかった。右中間にフェンス直撃の
打球を打つや、相手の守備がもたついているのを見て、一気に二塁を回った。
ところが、最後に打球を処理したのは、セカンドから駆けつけた、幼なじみの
大介だった。彼は得意の鉄砲肩で、猛然とサードに送球した。きわどいタイミ
ングで圭介は滑り込んだが、判定はアウトだった。
 その直後、スタンドから悲鳴が上がった。圭介は血だらけだった。薄れ行く
意識の中で、自分の足の骨が折れているのがわかった。直感的に、二度と野球
ができなくなったことも……。
 その後の中学生活は最低だった。勉強などまったくやってなかったので、簡
単におちこぼれた。屋上でタバコを吸ってる連中とけんかなどもしたが、圭介
の足が悪いと知るや、向こうが相手にしなくなった。そして、十四の春になっ
た時、あの天使が現れた。
 圭介は三秒で思い出した。
「あーっ!あーっ!あーっ!」
「どうだ?甲子園へは行けそうか?」
「冗談じゃないよ!こんな人生はいやだ!」
「そうか?」
「人生をやり直したい……。」
「で、具体的に何をやりたいのだ?」
 こう言われて圭介は困ってしまった。自分は何をやりたいのだろう。
(そういえば……)
 圭介の親戚で俊輔というのがいた。名前がサッカー向きだということで、小
さいころからJリーグをめざしていたっけ。
「サッカー選手になりたい……。」
「ほう。ワールドカップでもめざすのか?」
「まさか。高校サッカーに燃えたいんだ。」
「よかろう。」
 天使はどこから取り出したのか、杖をひとふりした。すると杖の先から白い
光が四方八方に走り、光に当たったものはすべてちりと化していった。建物も
車も人間も何もかも消滅していった。
 一階に居たはずの圭介の母が、ちりになっていく。
「母さん!」
 圭介は叫んだ。
「僕の人生をやり直すだけで、どうして世界をちりにしなけりゃならないんだ!」
 落ち着きはらって天使は言った。
「お前に直接間接に関わったすべてのものをやり直さねばならんのだ。つまり
世の中すべてだ。」
 そして圭介の人生はふりだしに戻った。

 産院で誕生した一人の赤ん坊を囲み、父親と母親が会話していた。
「圭介。いい名前だ。将来はどんな人間に育つだろう。」
「それはあなたサッカー選手よ。あたし埼玉アルデンテのサポーターだもの。」
 圭介は小さいころから地元のクラブチームの下部組織に入ることができた。
そして小学校上級生になるころには、左から矢のように駆け上がるサイドバッ
クとして、敵チームにおそれられるようになっていた。
 十二歳の春がやって来た。このころになると圭介の追っかけみたいな女の子
が現れるようになっていた。
「圭介さん!がんばってーっ!」
 栗色の長い髪の少女が叫んだ。
 小学生最後の試合でも、圭介は手を抜かなかった。相手の一瞬のスキをつい
たパスカットから、司令塔へボールを蹴り出すと、矢のように前線に走り出し
た。オフサイドをかいくぐって、ボールを受け、左からえぐるようにゴールへ
切り込んだが、相手チームにいた親戚の俊輔が、必死でボールを取りに来た。
 その直後、スタンドから悲鳴が上がった。圭介は血だらけだった。薄れ行く
意識の中で、二度とサッカーができなくなったことがわかった。
 その後の中学生活は最低だった。簡単におちこぼれた。屋上でタバコを吸っ
てる連中とけんかしそうになったが、圭介の足が悪いと知ると、向こうが相手
にしなかった。そして、十四の春になった時、あの天使が現れた。
 圭介は三秒で思い出した。
「あーっ!あーっ!あーっ!」
「どうだ?Jリーグへは行けそうか?」
「冗談じゃないよ!こんな人生はいやだ!」
「そうか?」
「人生をやり直したい……。」
「だから具体的に何をやりたいのだ?」
 こう言われて圭介は考えた。どうも自分はスポーツに向いてないのではない
か。
(そういえば……)
 ほとんど記憶がないが、圭介は小さいころピアノを習わされていたことがあ
る。ひょっとして自分には才能があるかもしれない。
「ピアニストになりたい……。」
「ほう。チャイコフスキーコンクールでもめざすのか?」
「まさか。音楽部でやれればいい。」
「よかろう。」
 天使はどこから取り出したのか、杖をひとふりした。すると杖の先から白い
光が四方八方に走り、光に当たったものはすべてちりと化していった。建物も
車も人間も何もかも消滅していった。
「何度も同じことを!おおげさなんだよこれは!」
「このくらい必要だと言っとるだろう。」
 そして圭介の人生はふりだしに戻った。


★★★
「あれれ、なんか見たようなパターンが続くね」
『これは、童話や児童小説に使われるテクニックの一つです』
「え? そうなの?」
 そうだよ。子供は何かの繰り返しを好むんだ。
 昔話や童話の名作の多くは、一定のパターンを繰り返すことが好まれるよう
にね。
『クニークルスは詳しいね・・・って、童話の登場人物だから当然か』
「でも、これからどうなって、何回ぐらい繰り返すのかなぁ」
 それは次回のお楽しみ。
 また来週。アリベデルチ



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