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小説を書こう!
第20回
 投稿小説 コロボックル 第1回

 

 

 

 

 

 

 

 

  ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
『ごぶさたしました、呟き尾形です』
「さて、今回は、投稿小説を掲載します。全2回で、予定では週間で発
行予定です。
「投稿していただいた方は、いるまがわさん。
 ジャンルはホラー。なんだかこわそー{{{{(+_+)}}}}」
 それじゃ、”コロボックル”第1回はじまりはじまり。

 作者名:いるまがわ
 ジャンル:ホラー
 メールアドレス:irumagawa@hotmail.com
 小説の題名:コロボックル(第1回)

 彼らをはじめて見たのは、ぼくが東京に出てきてから数ヶ月したころだ。そ
のころぼくは中学を出たばかりで、仲のいいクラスメートとも別れ、東京のア
パートで一人で暮らしながら高校に通っていた。東京の生活はたいへんだった。
学校は授業がむずかしくて、とてもついていけなかった。アパートに帰ると勉
強するより先に、食事の準備をしなければならない。ぼくはいつも、スーパー
で買ったお惣菜をおかずにして食事をすませてから机にむかっていた。教科書
をひらき、予習復習しようとするが、体がくたびれて、いつもそのまま眠って
しまうのだった。
 そんなある日、いつものように机につっぷしていると、目のはしにサッと何
か小さなかげのようなものが動いたのがみえた。
(虫かな。)
と、おもったが、眠いのでそのままにしていた。
 すると、
「○×○×○×っ。」
と、何か早口の声が聞こえた。
 よおく耳をすますと、
「コレイジョウカクレテハイラレナイヨ。」
「ヒッコシノジュンビヲシナクテハイケナイ。」
と、いっている。
(かくれるだの、ひっこしだの、なんのことだろう。)
 動かないように目だけで声のするほうをみると、そこには、身長2、3セン
チのこびとがいた。ひとりは男のこびとで、神話の神さまのようなかっこうを
しており、あごひげをはやしていた。もうひとりは女の子のこびとで、同じよ
うなかっこうで赤いほおをしている。
 もちろんぼくはおどろいたが、彼らをびっくりさせてはいけないと思い、じ
っと動かないでいた。
 女の子がいった。
「だいだらぼっちサンハワルイヒトデハナイヨ。」
 老人がこたえた。
「ソレナラバソナタガハナシテミルガヨイ。」
 女の子のこびとはしばらく考えてから、こちらへ、つまりぼくの頭のほうへ
あるいてきた。ぼくはあわてて目をつぶった。
「だいだらぼっちサン。ワタシタチハズットココデクラシテキタモノデス。コ
レカラモココニスマワセテクダサイ。オネガイデス。」
 しばらく沈黙があった。
「ネムッテイルノデスネ。」
 ぼくのほほに軽い感触があった。あるいはキスをしたのかもしれない。ぼく
は動かなかった。
 じゅうぶん時間がたって気配を感じなくなってからぼくは目をあけた。誰も
いなかった。なんだかぼくは興奮してきた。この部屋には昔からこびとが住ん
でいるのだ。そして、こびとたちはぼくの助けを必要としている。
 次の日もその次の日も、ぼくは学校からとんで帰り、こびとがあらわれるの
をこころまちにしていたがだめだった。しかし、三日目にまたあらわれた。
 いつものように机にむかっていると、右おくのえんぴつけずりのかげに、女
の子のこびとがかくれているのが見えた。気づかないふりをしていると、手ま
えのふでたてのかげに移動して近づいてきた。それでも気づかないふりをして
いると、とうとう、ひらいているノートの真ん中に彼女はやってきた。両手を
胸の前で結び、おびえながらこちらを見上げている。
「だいだらぼっちサン。」
「それはぼくのことだね。」
 ぼくはできるだけ小さな声でこたえた。
「ソウデス。だいだらぼっちサン。ワタシタチヲタスケテクダサイ。」
「どうすれば君たちを助けられるんだい。」
「ワタシタチヲ、ココニスマワセテホシイノデス。」
 興味があったので、ぼくは聞いてみた。
「君たちは昔からここに住んでいるの?」
「ハイ。ワタシノオジイサンノオジイサンノ、ソノマタオジイサンノムカシカ
ラ、ココニスンデイマス。」
 ふうむ。どうやらこびとたちは人間よりずっと短命のようだ。
「仲間はいるのかい。」
「タクサンイマス。だいだらぼっちサンガ、コワイヒトジャナイッテワカレバ、
ミンナデテクルトオモイマス。」
「こわくなんかないよ。ほら。」
 ぼくは慎重に慎重に、女の子のまえに自分の人さし指を移動していった。緊
張で指さきがふるえた。女の子はぼくの人さし指に腰かけるとにっこりとわら
った。
「君。名前は?」
「アイコ○×○×○×○×トイイマス。」
 最初の三文字しか聞きとれなかったので、ぼくは彼女をアイコとよぶことに
した。
 アイコは活発な子だった。ぼくがノートに何か書いていると、やってきて、
文字というものをおもしろがった。そして勇かんでもあった。ぼくの腕を登っ
て、ぼくの肩に腰かけるのが好きになった。そのうち、アイコにつられたのか、
ほかのこびとたちも、ちらほらと姿をあらわすようになった。
 男の子のわんぱく三人組やその母親たち。弓矢を持った男たちは狩りをする
のだろうか。そして最初にみた、あのひげの生えた長老もいた。ぼくが勉強を
していて、ふと見まわすと、机の上に何十人もこびとたちがいることもあった。
 ある日、妹がきた。当然、こびとたちはかくれていた。
「おにいちゃん。何やってんのよ。電話がぜんぜん通じないからって、お母さ
ん心配してるよ。」
 じつは電話線はぬいてあった。電話が鳴り出すと、こびとたちがパニックに
なるからだ。
「あーもーきたないへやー。あたしそうじしてあげよっか?」
「あ、いい、いい、あとでおれ、やるから。」
 冗談じゃない。部屋の中をひっかきまわされて、こびとたちに何かあったら
どうするんだ。
「さあ、もういいだろう。おれはなんでもないって、母さんにいっとけよ。」
「なによお。お茶のいっぱいも出さないの〜〜。」


 

★★★
「かわいい小人さんが登場するけど、ジャンルはホラーだったよね?」
 ふっふっふ、それは次回のお楽しみ。
「なんだか、童話っぽくて、幻想的な感じがするのがいいよね」
 それも案外、次のステップへの伏線だったりして(ー_☆)キラリン
「むむ、今回のクニークルス君はなんだか思わせぶりというか、意地悪というか・・・」
 それは次回のお楽しみ。
「う〜ん、そんな風に引っ張られると、ますます、次回がどうなるのかきになるよぉ」
 また来週。アリベデルチ



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