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小説を書こう!
第36回
 投稿小説 ラルサとムアウ(第1回)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★

 ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
『こんにちわ。呟き尾形です
「今回は、さて、投稿小説がありましたので、今回は、投稿小説を
掲載します。全3回で、予定では週間で発行予定です」
 表現技法の紹介 については、ちょっとお休みです。
「投稿していただいた方は、いるまがわさん。
 ジャンルは戦争童話。これまでいろいろ投稿してくれたいるまが
わさんだけど、聞いたことのないジャンルだね。
 どんな話なんだろう?」
 それは、読んでからのお楽しみ。
 それじゃ、ラルサとムアウの全3回の第1回。はじまりはじまりぃ〜。


 作者名:いるまがわ
 ジャンル:戦争童話
 メールアドレス:irumagawa@hotmail.com
 URL:http://www1.s-cat.ne.jp/irumagawa/
 小説の題名:ラルサとムアウ(第1回)

   ラルサとムアウ


 父が死んだとき、むすこのラルサは八才だった。
 それまでにも村はなんども敵におそわれていた。やりを持った男たちはやす
やすと村の境界の柵をのりこえ、ののしり声を出しながら、走り回った。する
と、村人たちは悲鳴をあげながら村を逃げ出した。おそってきた男たちは食料
を手に入れると、ゆうゆうとひきあげるのだ。
 だが、あのときはちがっていた。村の食料がとぼしく、ラルサの父はおそっ
てくる敵と戦おうとした。敵の一人はラルサの父にやりを投げつけ、それは父
の胸をつらぬいた。村人たちは恐怖で逃げ出し、父のそばにはラルサとラルサ
の母がとりのこされた。ふたりは男たちのえものにされてしまった。
 ラルサの母がだれのものになるかで、男たちはもめたが、ラルサの父を殺し
た男のものになることになった。ついでにラルサもその男のものとなった。
 男たちはふたりをつれて、自分たちの村へ帰った。
 村ではおおぜいの男たちがでむかえた。女たちは丸い家のしろい土かべの影
から、こっそりとのぞき見ていた。戦士たちはとくべつな小屋に入れられた。
ここでけがれをはらうのだ。
 長老がやってきて、ラルサとラルサの母をバオバブの木の下につれていき、
ひざまづかせた。ふたりの頭のうえで葉のついた枝をうごかし、なにかことば
をとなえると、まわりからわらわらと女たちが集まってきた。
「あんたたちはどこからきたの?」
「北の村がどうなったか知らない?」
「南の村のひとたちは?」
 つぎつぎと質問をあびせたが、ラルサたちは何も答えられなかった。ラルサ
の村は西のほうにあったからだ。
 戦士たちのけがれがとれると、ラルサの母はあの男の妻とされた。そしてラ
ルサはあの男の息子とされたのだ。ラルサは実の父を殺した男を、父さんとよ
ばなければならなくなった。だが、それがどういうことなのか、ラルサにはよ
くわからなかった。
 ラルサの新しい父はゆうかんな男だった。村の食料が少なくなって、まわり
の村からうばおうとするときは、いつも戦士として出かけていった。そのあい
だ、ラルサの母は一日中、家の中でじっとしていた。それが戦士の妻のしきた
りだった。ラルサは牛のせわや水くみ、小さな畑をそだてて、父の帰りを待っ
た。やがて父がえものをかかえて帰ってくると、たべものは豊かになるのだっ
た。
 何度目かの戦いのあと、父は敵のやりを足にうけてけがをした。仲間にたす
けられて村へ帰った父は、ラルサの母をなぐった。戦士が負傷するのは、その
妻が不貞をはたらいたためとされているからだ。つまり浮気をしたとおもわれ
たのだ。
 父は母をなんどもなんどもなぐり、母の茶色のはだがさけて、赤い血がなが
れた。ラルサは家のそとでふるえていた。ラルサは何もできなかった。
 それからは、ラルサと母にとっておそろしい日がつづいた。食料は不足し、
足が悪くて動けない父は、毎日のように母をなぐった。
 ラルサは決意して長老のところに行った。
「戦士になりたい。」
 戦士になって食料を手に入れれば、母がなぐられることもなくなると思った
のだ。
 長老は思った。ラルサは若すぎると。しかし、ラルサの家の事情は長老も知
っていたので、特にゆるすことにした。
 ラルサが戦士になる儀式がおこなわれることになった。
 そのまえの晩、ラルサの母は、ラルサをあのバオバブの木の下につれていっ
た。母は木の根もとをほった。するとそこから赤い石が出てきた。その石は月
の明かりをうけて、うっすらと輝いていた。
 母はいった。この石はラルサの死んだ父からもらったもので、不思議な力が
あるのだと。さらに母はバオバブの葉を何枚もむしりだした。
「この木は神聖な木ではないの?」
 ラルサが注意したが、母はだまって葉を結び合わせて輪をつくり、結び目の
こぶの一つに赤い石を入れた。
「これを首にかけていつも身につけていなさい。」
 ラルサは輪をうけとった。
 こうしてラルサは戦士になった。
 ラルサがはじめての戦いにおもむくことになったとき、足をけがしていた父
もいっしょに行くことになった。なんとか歩けるようになったからだが、ラル
サは不安だった。
(もしも父がもういちど負傷したら、また母がなぐられる。)
 ラルサは食料を手に入れなければならず、また、父をまもらなければならな
かった。
 戦士たちは南の村をおそうことにした。
 足をけがしているはずの父がさいしょに村の柵をのりこえた。おどろいたラ
ルサは父のあとを追った。すると、村の男たちは戦いを予期していたらしく、
あちこちからやりを投げてきた。
 ラルサは父のまえにまわり、木のたてでやりをふせいだ。たくさんのやりが
飛んできて、たてや地面に突きささった。ラルサは胸の前で赤い石の入ってい
る結び目をにぎりしめた。
 すると、歓声とともに味方の戦士たちが村の中におどりこんできた。おどろ
いた村の男たちはみな逃げ出した。あとには食料と数名の女たちがのこされた。
大きなえものだった。



★★★
「なんだか、納得いかないなぁ。奪うことって悪いことじゃない?」
 でも、そういった習慣だったり、価値観だってあるものさ。
 習慣や価値観の違いは、道徳観の違いだし。
「それに、怪我だって、自業自得なのに、他人に当たるのも納得いかないよ」
 ぼくらの価値観が、他の価値観からすれば野蛮だったり、不条理だったり、不可

解なことだってあるだろうし。
「う〜ん、そうなのかなぁ・・・」
 そうさ。
「ところでさ、クニークルス君、僕は、全体的にひらがなが多いのが気になった
んだけど」
 うん。ぼくも気になった。特にむずかしい単語がひらがなの表記は読みにする
となんとなく読みにくく感じるよね。
『いやいや、それも一つの投稿作品の個性といえます』
 あ、シニョール呟き尾形。
「それはどういうこと?」
『いくつかあるけれども、やっぱり、読む年齢層を意識していて、難しい漢字
は、使わないようにしているということ。
 案外、読めない漢字があると、分からないまま読み進まないといけませんが、
それは読者にとって負担になります。
 書き手としては漢字が読めるのは当然と思いがちですが、案外そうではあり
ません。
 また、手書きではなく、ワープロなど入力により、難しい漢字も安易に使う
ことが多くなったように思いますが、それにもこだわることはなんら悪いこと
ではないということです』
「じゃぁ、読める漢字が少ない年齢層の読者を対象にしたってこと?」
 戦争とはいえ、童話だものね。童話はそもそも子供の為のものだし。
『はい。最近、大人が読む童話という表現がありますが、それはあくまで一種の
比ゆであることは、私達は忘れてはならないと思います。
 その意味では、いるまがわさんのこだわりは正当だし、みならいたい気持ち
ではありますが、私には通しきれない信念、あるいはこだわりでもあります』
「どうして?」
『信念あるいはこだわりというのは、人それぞれ。ということです』
 なるほどねぇ。それじゃぁ、アルデベルチ




 




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