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●真理逢
 ジョーがイーグルたちに運ばれた後、残された真理逢とエレンは顔を見合わ
せた。
「では、牧師様を探すのと一緒に、私はその事をみなさんに電子チップでお知
らせしてきます。
 行きましょう。エレン」
 エレンは、真理逢の言葉に頷いた。
 真理逢とエレンは教会から出る時、自分たちを尾行する影に気づく事は無か
った。
 そして、真理逢たちは、人々が待ち合わせに使う広場の真中に立ち、教会で
無料ライブを行う事を宣伝していた。
 不意に、サングラスをかけた黒服の男達がハイエナのようによって来て、真
理逢達を囲む。
「AT−0023だな。大空様がおまえに用があるそうだ。来い!」
 エレンは、真理逢の顔を見る。
「なにをなさっているんですか? 訳を話してください」
 真理逢が黒服の男とエレンの間に割り込む。黒服の男は片手で真理逢を払い
のけ、真理逢は吹き飛ばされる。
「あ!」
 真理逢はその場に倒れそうになったが、誰かに支えられた。真理逢が見上げ
ると、そこには十六夜の顔があった。

●十六夜
「大丈夫ですか?」
 十六夜は真理逢に声をかけ、真理逢は頷く。
 十六夜は、軽く頷き、今度はエレンと黒服の間に入る。
「男性がよってたかって女性を連れ去る状況は、どう考えてもあなた方に非が
あります。立ち去ってください」
「っく、この前のADか」
 黒服達は一瞬ひるむが、後ろに控えていたマントをかぶる怪しげな男を呼び
出す。2メートルはゆうに越えるADが現われる。
「クックック、また貴様が出ることは予想していたんだ。いけ、無敵のオートドール、
邪異暗途」
「フモモモォォォーーー!」
 邪異暗途は、マントを脱ぎ捨て、十六夜に、猛獣のように猛突進してくる。
「あまり気は進みませんが、マスターを捜すため、あなた方を排除させていただき
ます」
 十六夜は、猛牛の直線的な突進を跳び箱を飛び越えるように、邪異暗途の頭
上を宙返りすると、そのまま邪異暗途の胴回りをつかみ、突進を止める。
 黒服の男達は信じられないという目で十六夜を見る。そして、さらに信じがたい事
に、邪異暗途の足が宙に浮き、そのまま、十六夜の背後に投げ飛ばされた。邪異
暗途は、受身のプログラムなどされているはずもなく、そのまま頭から叩き落され、
自らの体重に上半身が押しつぶされた。
「く、くそう、憶えてろう」
 黒服の男達は邪異暗途の残骸を引きずりながら、その場を撤退した。
 すると、公園の周りにいた人間が十六夜、真理逢、エレンを取り囲んでいた。
「すげーパフォーマンスだったぜ。無料ライブ、絶対行くからなー!」
 1人の男が叫ぶと、みんながパフォーマンスに対する拍手を与え、十六夜はプログ
ラムに無い状況に戸惑うばかりだった。

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