●川辺の小屋
少しばかり西に傾く太陽は、仕事を終えて、後は沈むばかりといいたげに、寂い光をさしていた。
シャウティー・ラウケマップとジョアンナは、ストークへ向かっていた。
「どうしたんだい?
シャウティー。なんか変だよ」
青ざめたシャウティーの様子を気遣って声をかけるジョアンナ。
「え?
あ、大丈夫です」
そうか細い声で言うシャウティー。
シャウティーは、北の洞窟から感じられる不快な邪気のため、気分が悪くしていた。
シャウティーの言葉とはうらはらに、薄く滲む汗と血の気の引いた青白い顔を見れば心配するのは当然かも知れない。
「大丈夫なもんかい!
何があったんだい?
それはあたしに話せないことなのかい?」
ジョアンナは声を荒げた。
「実は北から邪悪な気配を感じるのです。
でも・・・救いは、街からは希望の光を感じます」
ジョアンナは目を見開き驚いてはいたものの、すぐさま冷静さを取り戻す。
「・・・・そうかい。ついに封印が解けたんだね。
シャウティー。
あたしはあんたにあやまなければいけないんだ。
あたしは嘘を付いていた。
あの絵の秘密は最初から知っていたんだよ。
悪魔も封印されていたし、女神も封印されていた。
シャウティー。
あんたになら分かるだろう?
あたしが、あの美しい女神様をあんな絵から解き放ちたかった気持ちを!」
シャウティーは返答に迷いがあった。
ジョアンナの気持ちを分かると言えば分かる。
そして、ジョアンナがこのような状況になることもある程度予想しており、その罪悪感にさいなまれているのも分かった。
しかし、自分は彼女の気持ちのどれだけ理解してあげられているのだろうか?
そんな想いがシャウティーの返答を鈍らせた。
しかし、シャウティーは、とにかく自分の素直な気持ちを伝えることがジョアンナに対する誠意だと信じ、口を開く。
「ええ、わかりますとも。
その気持ちも、そして、そうしてしまったときの罪の意識も・・・。
だからこそ、ジョアンナさん。
行きましょう!
ストークに!
きっとそこに答えはあるのですから」
シャウティーの言葉にジョアンナは涙を浮かべたが、涙をぐっとこらえる。
「シャウティー。
やっぱりあんたはあたしがみこんだ通りいい娘だよ。
これを受け取ってくれないか?」
ジョアンナが差し出したのは細かい細工のはいった宝石のちりばめられた銀のペンダントだった。シャウティーは断れずそのペンダントを受け取る。
「これはね。悪魔から守ってくれるお守りみたいなものなんだよ」
そして、2人の女性はストークに向かった。
呟き尾形 2008年3月2日 アップ
呟き尾形 2014年8月10日 修正
呟き尾形 2014年12月14日 修正
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