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4枚の絵画 夜の安らぎ 4

 


●白き雌鹿亭


「オレが? どうして?」
 シンは、自分を指差しバハトゥーンに問う。
「おまえさんの混沌とした精神だろうな」
 酒場のカウンターで酒場の主人は、目つきが代わり、伝説の戦士としてのバハトゥーンとして、シンの問いに即答する。
「ちょっと、まって。
 オレは曲がりなりにも騎士だよ。
 騎士なのに混沌って・・・」
 シンが言葉を言い終える前に、バハトゥーンは、今にもシンを襲おうという殺気を放つ。
「騎士なら、貴族や王族の下で領地に収まっているものだ。
 その騎士が当てのない旅なんかすること自体騎士らしくない。
 それにしも、お前を見ていると、どんなに俺が今まで運命から逃げようとしていたかよく分かるよ。
 俺は運命から逃げないことにした。だからお前も運命から逃げないでくれ」
 シンはあまりにも一方的な話に絶句した。
「あー! シン!!!
 捜してたんだよ」
 唐突に聞き覚えのある声がして、シンとバハトゥーンの会話はさえぎられ、バハトゥーンの殺気は瞬時に消えうせた。
 そして、何事もなかったように、白き雌鹿亭は日常の雰囲気をかもし出した。
 声の主は、ムーンティア・エクセリオン。
 ティアの登場によりシンとバハトゥーンの間に張りつめた空気は一気に和む。その後ろにはシャクティーとティアがいる。
 シンは肩をすくめながらティアの話に耳を傾けることにした。
「あのね、パッセル君がねフォルスの孫で、パッセル君のお爺さんのフォルスは魔法使いで、悪魔を封印したんだ。
 それでね、それでね、パッセル君がバルバロイにさらわれたんだ。
 バルバロイという叔父さんは男のくせに女の人みたいな言葉でしゃべってちょっと気持ち悪かったけど最初はなんかいい人だと思えたんだよ。
 でもね、シグルーンさんが助けてくれたんだ。
 だって、バルバロイをおっぱらたんだから。
 それでね。
 悪魔を封じるには巻物を捜さなくちゃいけないんだ。
 そうフォルスお爺さんの幽霊がそう言ってたから間違いないと思うんだ。
 シン、巻物をさがすの手伝ってくれない?
 そんでもって、パッセル君は北の洞窟に捕まっていて、1人で行くのは心細いから一緒に来て欲しいんだ。
 でないとパッセル君が〜!」
 ティアは目をウルウルさせて、支離滅裂な言葉を駆使してシンに説明しつつ懇願する。
 シンは何となくティアの言わんとしていることが理解できた。
 そして、シンはティアを落ち着かせるように、やさしく頭をなでた。
「落ち着いて、ティア。
 パッセルが捕まって、北の洞窟に監禁されたってことだね」
 シンの言葉に頷くティア。そして、シンは言葉を続ける。
「助けるためには、巻物が必要なんだね?」
 シンの言葉に再び、ティアは激しく何回も頷く。
(・・・・・・・・。
 そういえば、夢でも北の洞窟が何とか言ってたかな。
 いやいや、夢と現実をいっしょにしちゃまずいかな。
 でも、たしか、伝説では、北の洞窟が悪魔退治の舞台だったっけ?
 しらないうちに、何となく繋がってきたような気がするけど、何とも知らない内にごたごたに巻き込まれていたっようなきもするかな)
 シンが思案している間、ティアはシンの回答をじっと待っていた。
 そして、シンはティアに「OK」と返事をすると今にも泣き出しそうだったティアは満面の笑みでお礼を言う。
「・・・ティア・・・」
 切り替えの早いティアに絶句するシン。
「そんなことはどうでも良いから早く巻物を捜そうよ」
 意外としたたかなティアであった。
「あのう、私も一緒に行って良いでしょうか?」
 シンは断る理由もないのでシャウティーの同行を認めた。なにはともあれ、シン、ティア、シャウティーはフォルスの塔へ向かうことにした。














呟き尾形 2011年3月13日 アップ
呟き尾形 2015年1月18日 修正

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