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呟き尾形の哲学講座
第7回 ソクラテス 無知の自覚

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人物の台詞です。

★★★
みなさん。こんにちわ。ウサギのクニークルスです。
「こんにちわ。ムーシコスです」
《めぐたんなのだ》
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今日は、ソクラテスについてだよね」
ソクラテスは、古代ギリシアの哲学者で、紀元前469年頃に、アテネ近
郊に彫刻家の父と助産婦の母に生まれたとされているけど、前半生は不
明なんだ。
「大体2500年前だものね」
『そうですね。後半生はペロポネソス戦争とそれに続くアテネの衰退期に
あたり、参戦したんだ。とはいっても、従軍したのは、3回だったといわれ
ています』
《運が好かったの》
 かも知れないね。なんたって、「ダイモンの合図」と述べた一種の神の信
託を受けたんだから。
 ソクラテスのすごいところはここからなんだ。
信託の内容というのが、「ソクラテスより賢者は無し」というもので、その信
託を試すべくアテネの賢者を巡ったんだよ。
「なんだかすごいね」
『そうですね。さらにすごいのは、その結果、「無知の自覚」という点で、誰
よりも自分が勝っていたことを確信したのです』 
《なんだかカッコイイのだー》
そうだね。それに、ソクラテスは口だけではなく、行動したんだ。
街頭で「問答法」によって、アテネの人々の思想を徹底的に吟味して、
真理に導こうとしたんだ。
 でも、プロタゴスらのソフィスト(弁論・修辞の職業的教師)たちが、
真理を相対的なものとしたのに反対した。
『ちなみに、このプロタゴスというのが、前回、相対主義を満喫させた
張本人なんだ。
プルタゴスは、”人間は万物の尺度である。存在するものについては、
存在することの、存在しないものについては存在しないことの”といっ
たんだ』
「え? どういうこと?」
それはね、ムーシコス君。真理は人それぞれに存在する。ってことさ。
「それは、それで正しいような気がするけど・・・どこかおかしいの?」
それはね。ムーシコス君。そもそも、真理って、人によって違うなら
それは真理って言うのかな?
「あっ、そうだ。たしかに」
『つまり、詭弁なんだよ。
そして、修辞、つまり、言葉を効果的に使って、適切に表現すること。
また、美しく巧みな言葉で飾って表現することを単なる「虚偽の推論、
言いくるめ議論」という詭弁に堕落させたんだ』
その詭弁に対抗したのが、ソクラテスなんだよ。普遍的、客観的真理
の探究をフィロソフィア(愛智)と呼び、よりよくいきることは善を実
行すること(徳)であるといったんだ。
 アポロン神殿の格言「汝、自らを知れ」を自分自身の戒めとしたほか、
人々にもそう説いたんだ。
《やっぱり、カッコイイのだー》
でも、めぐたん。これが、ソクラテスの顔だよ。
《どひゃー、おじいさんだー・・・ショック》
「めぐたん。しかたないさ、2500年前の人だよ」
《そうなのだ。それは仕方ないけど乙女の心を傷付けたクニークルスは
許せないぞ》
い、いや、めぐたん。人間は万物の尺度だからだね・・・その。
《それはさっき習ったばかりなのだ! 詭弁なのだ!!!》
ぎゃーーーーーー。
『ああ・・・私の講座が・・・』
「講師もこのありさまじゃ、ソクラテスの紹介は次回に持ち越しだね。
さて、これをよんでいるみなさん。なにか質問、疑問点はありませ
んでしたか?
もし、ありましたら、ぜひメールにて質問してください。
それでは失礼致します・・・」
『ああ・・・私の最後の台詞が・・・』

★★★

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