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呟き尾形の哲学講座
第10回 ソクラテス イデアについて

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
【あのう・・・つぶやき尾形さん】
『あ、君はオチこぼれ占い師のフォルス・テッセラ』
【オチこぼれというのは、ひどいですねぇ。まぁ、それはさておき、そろそろイデアに
ついてお話してもよいのではないでしょうか?】
 まったくだ。イデアの存在のないアイロニーなんて、穴の開いているドーナツのよ
うなものだ。
「クニークルス君。ドーナツは最初から穴が開いているよ」
 あ、そういえば。で、セニョール 呟き尾形。イデアとはなんぞや。
『イデアについては、プラトンで詳しく触れるつもりだから、ちょっとおいておいて。
 ただ、下記のような定義だと思ってもらえば多分大丈夫だと思います。
 1・倫理的、美的価値それ自体を指す。
 2・感覚的経験知を配してイデア界に真知を求める。
 3・反経験論としてのイデア』
「思う?」
【いや、イデアというのは、とても微妙なテクニカルタームなんです】
《てくにかるたーむ?》
【あ、えっと、専門用語という意味で、捉えてくださいな】
『そう。イデアについては、できるだけプラトンで詳しく紹介したいと思っています。
 で、現在のソクラテスの紹介では、むしろ、エイドス(形相)について触れたいと
思っています。
 エイドスとは、イデアとほぼ同じ意味なのですが、イデアとの違いは、エイドスは
論理的、イデアは直感的という違いなんです』
《ふに?》
 つまりね、エイドスは目に見える形、イデアは目に見えないものということなんだ
よ。
《ふに》
『とりあえず、話を進めましょう。さっき、クニークルスが言ったとおり、エイドスと
は、いってしまえば、真実の形のことを指します。
 さらに、困ったことに、実際に描かれた図形は、完璧な形ではないのです。
 たとえ、完璧に三角形を描いたつもりでも、3本の辺は完璧な直線を描いてい
ることは決してない。
 このように、真実の形に似ているだけ。人間はその似ている形からエイドスを
見出し、その形を見出すわけです』
《なんだか、聞いたことのあるような話なのだ》
【それはですね。同じような話を前回、めぐたんにしたからですよ】
《なるほど》
「で、ソクラテスはエイドスをどうしたの?」
『脱線しそうなところに、フォローありがとう。ムーシコス。
 ソクラテスはそれを道徳に持ち出した。
 ”完璧な道徳は存在しないが、我々は完璧な道徳を知っている。そうでなけれ
ば、何が道徳で、何が道徳でないかなど判断できない。つまり、道徳のエイドス
を理解しているからだ”
 という理屈だね』
《だからめぐたんはめぐたんなのだ》
 なにそれ?
《だ〜か〜ら、めぐたんはめぐたんなの》
【いや、めぐたんは、”完全無欠の自己は存在しないが、我々は自分を知ってい
る。そうでなければ、誰が自分で、誰が自分でないなどと判断できない。つまり、
本当の自分を理解しているからだ”
 という理屈がなりたつということをいいたいんですよぉ】
 わ、わからない・・・。
【まぁ、なぞなぞの出題者は、なぞなぞを出すとき、なぞなぞには正しい答えが用
意されていいます。それで、回答者の回答を正解と不正解を判断するようなもの
ですね】
「そうだね。僕たちが何かを判断するとき、なにか正しいものを前提としているも
のね」
 う〜ん、もしかしたら、ぜんぜん理解していないのはこの僕だけ?
 な、なんだか、く、悔しい。
「あ、今度はクニークルスが逃げ出しちゃったよ」
『いいよ。ほっといて。どうせ呼ばなくてもでしゃばるんだから。
 さて、これをよんでいるみなさん。なにか質問、疑問点はありませんでしたか?
 もし、ありましたら、ぜひメールにて質問してください。
それでは失礼致します』

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