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呟き尾形の哲学講座
第12回 テロとは何か?

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです。
 今回は、前回に引き続き、特別編として、テロリズムについてお話
を進めるそうです」
 なんと、ありがたいことに、読者のシニョール TOKUから質問
のメールをもらったのだ!!!
 え〜っと、
?呟き尾形さんに質問です。
「でも、報復しちゃいけないってことは、だまってテロを見過ごせっ
て事なの?」
とムーシコスくんが言っているけど、その答えを是非第二段で教えて
ください。?
 とのこと。
《ありがとーなのだ》
『メール、ありがとうございます。メールマガジンを発行して、読者の
方からメールをいただくのは、とてもうれしいです。
 TOKUさんは他にもいろいろな意見を言っていただきましたが、そ
れは、後日、テーマと話題にマッチしたときに、紹介させていただきま
す。このように、読者の方と意見交換できるのは楽しいですね』
「ということで、ボクの”報復しちゃいけないってことは、だまってテ
ロを見過ごせって事なの?”という、疑問に答えてもらえるんだよね」
『はい。
 その前に、簡単におさらいをしましょう。

1・テロは、自らの主張のためにを暴力に訴えることを是としている。
2・テロの武器は、民衆の声、つまり世論です。
3・無差別テロの目的は、民衆が指導者の批判させること。
4・テロ活動とは現政治体制に対する過激な政治批判である。
5・テロの憎むべきは、自分の要求を民衆の要求にすり替えること。
6・テロそのものが、テロの信念の宣伝になる。
7・テロは、民衆を擬似的に盾(人質)にとって、利益を得る。
8・信念的利益を、暴力で得ようとするルール違反をしている。
9・テロに対して、武力を持って報復することは、テロと同じである。

 以上が、大体のおさらいでしたね。
 さて、前回は哲学とは、対象の意味を考察する技術であり、それ以
上でも以下でもありません。
 といいました。
 あるべき姿がわかったら行なうべき方法を探します。
 ここからは哲学ではなくなり、私自身の方法論になります。
 これは、本を読んだりして独学で学んだことなので、一般的かどう
かは別にして、持論ですが、物事を成功させるためには3つの段階が
あります。
 目的を決める(政略)。
 目的を達成するための準備を行う(戦略)。
 実行する(戦術)。
 哲学は上記の3つ段階の中の政略にあたります。
 政略の時点で、テロはあってはならないことは、テロについてのま
とめから読み取れますね』
《悪いのはなんとなくわかるけど、なぜなのだ?{{{{(+_+)}}}}》
「え〜っと、めぐたん。それはね、8番の理由でルール違反をしてい
るからだよ」
『ムーシコスの言う通りです。
 話し合いで解決すべきルールを、自分の都合で破ってしまっている
のです。
 となれば、ルール違反の存在に対してはなんらかのペナルティーを
科されます』
 じゃぁ、目には目を。で反撃じゃないか。
『いいえ、野球、サッカー、なんでもいいのですが、スポーツにおい
て、最大限のペナルティーとはなんでしょう?』
《退場なのだ!!!(x_x) ■\(--;)レッドカード》
『そうです』
 でも、テロを退場させるってことは、やっぱり反撃じゃないの?
「クニークルス君。審判は、選手を退場させるとき殴ったりしないよ」
 あ、そうだね。ムーシコス君。
《わかった! 話し合いの場から退場させればいいのだ(ー_☆)》
『めぐたんの結論は、極端だけれども、大まかにはそんなところです。
 戦略としては、テロについて知ること。テロについて正しい知識を
積極的に集め、テロを正しく知ることです。
 無差別テロの目的は上記の2と3にあるように、テロによって、世
論が現政治体制を批判してしまうことにあります。ここで言う批判と
はなにも、直接的な批判でなくてもいいのです。
 民衆が、現政治体制の防犯の信頼を失い必要以上に無差別テロを恐
れるだけで、十分です。民衆の信頼を失った政治体制は、他の些細な
ミスでも、必要以上に批判され始めますからね』
「でも、知るだけでいいのかなぁ」
『いいえ、戦略は戦術(実行)を前提とする準備ですからね。
 それに、ここで言うテロについて知るということは、テロの方法を
知ることも含まれます。テロの方法を知るということは、避難する術
も事前に付けておくことも含まれます』
 じゃぁ、シニョール尾形はどのような戦術を立てるので?
『戦術というほどのことじゃないけれども、テロに対しては何もしな
い。重要なのは必要以上にテロをおそれて、ヒステリックになったり、
パニックをおこなさいこと』
 ちょっと、まってシニョール呟き尾形。じゃぁ、実際に無差別テロ
に巻き込まれたらあきらめろ。ってことにならないかい?
「そうだよ、テロ組織は野放しにしてろってこと?
防テロ意識をもつようにする事はだけで、納得できるのは、実際に被
害を受けなかった人だけじゃないかな?」
『もっともな意見ですね。でも、それは、また別の話です』
《なぜなのだ?》
『被害にあった人には被害にあったことについて何かを行なうべき
であって、テロに報復、復讐することが被害を補う方法ではないと
いうことだからです。
 防犯と保障は別の視点で考えなければいけないのです。
 ひとつの方法で複数の目的を果たそうとするのは、根本的になに
かが間違っているのです。
 今回の場合、テロに対して効果があるのは、防犯の方なので、こ
のようなお話になっています。
 そして、防犯のためには、多くの人が、積極的にテロの正しい情
報をもっていれば、事前に防げるものも多くあります。
 たとえば、公開されたテロの実行犯の顔を覚えておく、テロが予告
しているものを事前に知っておく、常に、テロを警戒するだけで、だ
いぶ違うはずです。
 悪いことにかぎらず、いたずらをするとき、警戒されてしまっては
やりづらいですよね』
 う、そのとおり。
『そして、対規模なテロというものの多くは、予行演習めいたものな
どなにかしらの兆候があるものです。
 日本の例でいうなら、地下鉄サリン事件の前の松本サリン事件など
です。
 さらに言うなら、地下鉄サリン事件の被害を少なくさせたのは、サ
リンについて正しい知識を持った人たちの活躍と、テロに動じなかっ
た勇気ある人たちの活躍でもあるのです。
 とにかく、テロの後の対処が重要であり、ヒステリックになったり、
パニックを起こさないことが、私が一般民衆に提案するテロ対策です』
【たしかに。ヒステリックやパニックはその原因について正しく理解
していれば、それらは回避できますものねぇ】
 わ、シニョールフォルス。いつの間に。
【いえ、いろいろ調べ物をしてましてね。講義に遅れてしまいました。
 それはそうと、呟き尾形さん。テロについて知るだけじゃ、ヒステ
リックやパニックの回避は起こりにくいだけでしかありませんよぉ】
「え? どういうこと?」
『さすが、フォルスです。ただの占い師ではなく、オチこぼれ占い師
なだけありますね』
【けなされているみたいですけど・・・】
『いや、ほめているんですよ。
 もちろん、ただ知るだけでは、フォルスの指摘どおりです。
 そのために、必要な根底的な信念がないと無理でしょうね。でも、
それこそ、それは、各個人の問題になってしまいますので、私がどう
こう言う問題ではなくなります』
《呟き尾形の信念はなんなのだ?》
『自主、自尊、自律』
 おお、自分勝手に傲慢に自己満足が信念だね。
『ちがーう。
 自主的に動くことで、自分の行動と言動に責任をもって、責任を持
つということについて、それにプライド(自尊)と自信をもち、自分
の都合で、それを曲げないこと(自律)。そして、なにより、他人の
意見も自分の意見と同じように尊重することです!』
「前半は、言葉どおりに聞こえたけれど、後半の”他人の意見も自分
の意見と同じように尊重する”というのは矛盾していない?」
『してません。自主、自尊、自律の結果なのです。
 自律とは、法律のように、みずからの信じる律をもって、物事を理
性的に判断することです。
 それは、自分を尊ぶことができなければ律を作ることなどできませ
んし、自主的に行なわなければ自律とはいえませんしね。
 そして、自らを尊ぶということは、他人を尊べなければできません。
《なぜなのだ?( ̄ε ̄;)ワカラナイノダー》
『めぐたんは、自分の目で自分の顔を見たことはある?』
《鏡で見たことがあるのだq(//▽//)pきゃー》
『それは、鏡に映っている像でしかないよ。自分というものを知るた
めには、何かに映し出さなければできないのです。
 自分の性格ですら、他人と比較した結果でしかないわけです』
「つまり、他人は自分の鏡だから、その像を尊べなければ、自分も尊
べないうこと?」
 でも、なんか強引なような気がする。
『まぁ、それについて語りだすと、心理学の話になりますからね。
 心理学もありますが、他にも、根拠はあります。なんといっても、
私は民主主義社会でそだったので、賛成する人数が多ければ正しいと
いう考え方には、正当性を感じません。
 少数意見だとしても、それが正しい意見は存在します。
 本来の民主主義は、多数の賛成意見を施行するのではなく、少数意
見であってもその正当性を検討し、正当であれば、そちらを選択す
るものですからね。つまり、民主主義の根底は国民を尊重する。こと
にあります。
 話はちょっとそれますが、国会の多数決は、個人の利害や欲望の奴
隷になっているようにしか思えません。それは数の暴力であり、一種
のテロです。
 その効果が日本に蔓延している、誰が政治家をしても結果は同じ。
というあきらめの世論を作り出しているようにしか思えません』
《なんだか、その国の人は不幸なのだ。なにか良い方法はあるのか?》
『ソクラテスの弟子、プラトンがすごいことを言い残しています。
 一見すると、それって共和制? って思える内容ですが、よく
理解すると、ものすごく合理的でかつ、共和制どころか、ありとあらゆ
る政治腐敗を排他できそうなものです。もっとも、それが可能かどうか
別ですけどね。
 話がそれてしまいました。
 結論としては、信念を持って必要以上にテロを恐れない。パニック
を起こさない。ということです。
 次回はソクラテスの続きを発行いたします。
 さて、これを読んでいるみなさん。なにか質問、疑問点はありませ
んでしたか?
 もし、ありましたら、ぜひメールにて質問してください。
それでは失礼致します』


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