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呟き尾形の哲学講座
第13回 ソクラテスが死刑になった訳

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
 
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです。
 さて、11回、12回は特別編でした。
 今回は、10回の続き、ソクラテスについてです」
 今回は、ソクラテスが死刑に至らしめた哲学をお伝えします。
『おや? 妙に協力的ですね。クニークルス』
 そりゃもう、原稿が手元にありますから。
『あ、それは!!!』
《呟き尾形の机のうえにあった紙を渡したのだ》
『めぐたん。きみって娘は・・・』
【まぁ、まぁ、呟き尾形さん。たまには楽をしましょうよ。前回、
前々回とテロリストの話で大変だったでしょぅ?】
『ま、まぁ・・・』
 きまり!
 おっほん。では、そもそも、ソクラテスが民主派に弾劾された
理由は、”エロス”という考え方。
 ここで言う、エロスは、ティオティマのエロス。
 エロスは美しいもの。
 善いもの。
 叡智。
 そして、なにより、不死を欠いているが故にこそ、それらに恋
する精霊(ダイモーン)とされている。
 ソクラテスのこのエロスの解釈。
 ぼくらのイメージするエロスとはちょっと違わないかい?
【そうですねぇ。もっとなんというか、いやらしさとか邪さを連
想しちゃいますねぇ】
 そう、当時の社会を含め、人間にはエロスにはなにかいやらし
いというとても強い先入観がある。
 これがソクラテスの哲学を世間が誤解したよういんなんだ。
「どういうこと?」
 それはね、ムーシコス君。当時のアテネの政界は民主派と寡頭
派(独裁)と対立していたのだけれども、ソクラテスは友人や弟
子が寡頭派にいたこと。彼自身が民主派が衆愚政治になりがちで
あったことに反対していたため、民主派から
「青年を害し、国家の神々を信じないで、新しいダイモンを持ち
込む」という容疑で告発された。
 つまり、エロスについての先入観が悪用されたってこと。
『人は先入観を信じて疑わないところがあって、時に先入観を、
根拠にすることがありますからね』
 たしかにそうだね。シニョール呟き尾形。
 で、法廷で自らを弁護したが、死刑の判決を受け、「悪法とい
えど、国家の法に従うべし」といって毒杯をあおいで死んだ。
《なんか、自分の信じていることを最後まで貫くなんてカッコい
いのだ。でも、死んじゃったのは悲しいのだ(T.T ) ( T.T)》
『そうですね。前回、信念を持つことは主張しましたが、実際、
信念のために死ぬのは疑問を感じています。
 信念は生きていく上では有効なものですが、死ぬ理由にするの
は本末転倒のように感じるからです』
【確かにそうですねぇ。
 さて、ソクラテスは自らの著書はないものの、弟子のプラトン
のソクラテスの弁明をはじめとする本で紹介されていますよぉ】
 げげ、なんで、オチこぼれ占い師のシニョールフォルスが知
っているの?
【予習は欠かすべきではありませんねぇ。ミスタークニークル
ス】
『たしかにそうですね。
 さて、ソクラテスは哲学を従来の自然学から真の人間学に転
換させた最大の業績があるといえます。
 そういった意味では、ソクラテスは、人間の哲学に、大変大
きな改革をもたらした存在だと言えるでしょう。
 さて、ソクラテスの死を持って、ソクラテスについての講義
はここまでにしたいと思います』
 次回からは、ソクラテスの弟子にして、プラトニックの語源
にもなった、プラトンについて講義したいと思います。
 さて、これを読んでいるみなさん。なにか質問、疑問点はありませ
んでしたか?
 もし、ありましたら、ぜひメールにて質問してください。
それでは失礼致します』

★★★

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