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呟き尾形の哲学講座
第31回 完成されるための4つの要因

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ》
【こんにちわ。なぜかここにいるフォルスですよぉ】
『こんにちわ。講師の呟き尾形です』
 今回は赤ちゃんを大人(人間として成長させる)にする4つの要因につい
てだね。
『はい。アリストテレスは、赤ちゃんを大人、つまり完成された人間になる
ための4つの要因を挙げました』
 物質的な材料としての質量因。
 人間の真の姿としての形相、すなわち形相因
 栄養などの作用因。
 目標となる姿形としての、目的因の4つです』
《おろろ、なんだか形相因と目的因は同じじゃないのか?》
『たしかに、紛らわしいかもしれませんね。
 形相、エイドスについて復習してみましょう』
「たしか、エイドスはイデアと良く似通ったものだったよね」
 そう、エイドスは目に見える形、イデアは目に見えないものということ。
 そんでもって、エイドスは真実の形のことを指す。
《ということは、目的因と形相因はどう違うのだ?》
「たぶん、目的因は自分からやろう。としていることで、形相因は・・・」
 あたかも、最初から決まっているかのようなこと。つまり、完成予想図。
ってわけさ。
 まぁ、料理のレシピが形相因、料理を作ろうとするのが目的因ってところ
かな。
『苦しいですが、そんなイメージでよいと思います。料理に例えられたので
あわせて、質量因は食材、作用因は料理を行っていることですね』
「なるほどね。レシピを持って、料理を作ろうと言う目的をもたないと、料
理は作れないし、当然、食材も調理もしなければ当然料理はできない。って
ことか」
《おかしいのだ》
 おかしかったら笑いましょう。
《ヾ(  ̄▽)ゞオホホホホ じゃないのだ》
「お菓子だって同じだよ、めぐたん」
《(T.T ) ( T.T)ちがうのだ。ちがうのだ。めぐたんのお母さんは、料理を
するとき、レシピは見てないし、めぐたんだって成長しているけど、レシピ
みたいな、人間完成図とかないのだ》
「あ、そういえばそうだね」
『確かに、レシピがなくとも、料理は作れるし、人間の場合、料理にあたる
レシピに当たるものはないように思えます。
 めぐたんのお母さんが、レシピを見ないのは、めぐたんのお母さんに、
もう、レシピを見なくとも、料理の完成図のイメージが出来ているからなん
だ。
 そして、めぐたん。めぐたんの周りに大人の人や、尊敬できる人、いませ
んか? あるいは、こんな風になりたい。とか思うこと。ありますよね?』
《いるし、あるのだ》
『それが、形相です』
「なるほどね」
《なんとなくだけど、わかったのだ》
 そうして、人は、大人になることで、現実的状態(エネルゲイア)という
ことで、形相が実現されている状態であり、成人した大人と認められるわけ
です。
『そうですね。めぐたんからも質問が出ているので、目的因を考える上で、
現代の考え方とちょっと違うことがあります。
 人間も自然も意志をもっているということを前提に考えています。
 たとえば、雨が降ると考えたとき、雨が降るのは、水蒸気がやがて雲にな
って冷やされ、水蒸気が水滴になり、重力によって地上に落ちてきます。
 ここで上げた雨が降る原因は3つ。
 雨の素材となる水蒸気(雲)がちょうどそこにあったから(質量因)
 つぎに、雲が水滴になる為に水蒸気(雲)が冷やされたから(作用因)
 そして、3つ目は、地上に水が降り注ぐことが雨の形相あるいは本質なの
で雨は降る(形相因)わけです。
 これに加え、アリストテレスは自然現象にも意志をもっていることを前提
に考えているわけであるため、植物や動物が成長ために必要だから(目的因)
雨が降るのだ。と指摘しています。
 もちろん、現代の自然科学からするとこれはおかしいのですけどね。
 でも、現代科学の指摘が本当に正しいかのでしょうか?』
「え? 間違っているの?」
『それについては次回に持ち越しましょう。
 読者のみなさんはどのように思われますか?』
 読者のみなさんの意見を求めつつ、いっしょに考えてみようということで、
アルデベルチ。
 

★★★

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