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呟き尾形の哲学講座
第44回 ヘレニズム哲学

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ》
【こんにちわ。フォルスですぅ】
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回はヘレニズム哲学について、だったよね?」
《へれにずむ?(?_?)》
『ヘレニズムとはギリシア風文化という意味です。
 このヘレニズム文化を生み出した原因はマケドニアの王であるアレ
キサンドロス大王の大遠征です』
 あ、当時の最強の国、ペルシャを打ち破り、大遠征をおこなった王
だね。
 シニョール呟き尾形。
『はい。その、遠征により、アレクサンドロス帝国を築き、エジプト
からインドにいたるまでのオリエント文明とギリシア文明を結びつけ
ることになりました』
「それで、どういうことがおこったの?」
『はい。
 その結果、人間の歴史が始まって以来のまったく新しい時代が生ま
れたのです』
「う〜ん、どんな風な時代になったの?」
『それは、ギリシア文化とギリシア言語が主導権を握る国際共同社会
の誕生です』
 補足すると、アレキサンドロス大王は、もともとマケドニア王国の
王でギリシア文化の流れを汲んでいたということだね。
 このアレキサンドロス大王というのが、天は二物をあたえたような
すごい人物だったんだよ。
《点が二物って、点は一つなのだ。おかしいのだ
┐('〜`;)┌ナンセンス》
 あ〜、天は二物をあたえず、と言うことわざを知っているよね?
 めぐたん。
《え? (ё_ё)パチクリ
 えっと、魔法書、魔法書、ことわざの魔法書っと・・・(◎-◎)
 なになに、一人の人間が多くの才能や資質を備えていることはない
ことのたとえ・・・》
「ということは、アレキサンドロス大王は何でも出来ちゃう人だった
んだ」
 そうだね。
《あれれ、そういえば、アレキサンドロスって聞いたことがあるぞ。
 アレキサンドロスって哲学者だったかなぁ・・・》
『いえ、ただ、アリストテレスが教育した人です』
「あ、思い出した。天は二物も三物も与えて、美男子の上に、強くて
指導力もあ
って、頭もいい人だったんだよね」
 そうか、第23回でそんなこといってたね。
http://homepage2.nifty.com/SON/tetugaku/TETU23.htm
『はい。そのとおりです。
 それだけに、アレキサンドロス大王というカリスマに支えられていた
マケドニアは、アレキサンドロス大王の早すぎる死によって、帝国の分
裂を導き出すことになります』
 なんだか、諸刃の剣ってやつだね。
『そうですね。
 ただ、アレキサンドロス大王の大遠征により、いちど一つの国になっ
たことで、既存の国や文化の仕切りがなくなったことがヘレニズムの特
徴につながりました。
 これは、様々な文化が、宗教、哲学、科学も一つに交わることで、既
存の価値観の枠が取り払われてしまったことを意味します』
 いわゆるボーダーレスってやつだね。
『はい。クニークルスのいうとおりです。
 そして、そのボーダーレスが、独自の民族や都市国家を根拠としてい
たアイデンティティの喪失につながりました。
 つまり、ヘレニズムは、人々の人生観に疑いやぐらつきが、それぞれ
みんなに押し寄せてきたという現象を引き起こしたのです』
《ほへ、それってどういうことなのだ?》
 それはね、めぐたん。
 いわゆる、混迷をキーワードとするような、社会背景だからこそ、価
値観の混乱の時代が訪れたってことさ。
『その通りですね。
 そうした価値観の混乱の時代を生き残るために哲学が発達していった。
 ということが、ヘレニズム哲学の特徴といえます』
「えっと、つまり、混乱に満ちた時代を生き残る方法としての哲学を導
き出した。ということなのかな?」
『その通りです。 そして、ヘレニズム哲学は、これまで、紹介してき
た、ソクラテス、プラトン、アリストテレスのような、新しい問題の提
起というものをしていることはなく、むしろ、先人の哲学をさらに深く
掘り下げるということに没頭しているともいえます。
 ヘレニズム哲学において、共通することは、人はどのようにしてもっ
とよい人生を送り、また死ぬべきか、という問いに答えようとすること
でした』
《むずかしいのだ、どういうことなのだ?》
 それはね、めぐたん、これまでがどういった問題があったのか、とい
うのが哲学だったけど、それを掘り下げることでどうあるべきか、とい
うことが重要になったというわけさ。
「具体的にいうと、どういうこと?」
 ズバリ、倫理観が重要になるということさ。ムーシコス君。
 そうだね? シニョール呟き尾形?
『はい、その通りです。
 そして、倫理観は、ヘレニズムという国際社会において、きわめて重
要な哲学のテーマになったことになります。
 そして、本当の幸せはどこにあるのか、それはどうしたら手に入るの
かが問われました』
「それを次回だね?」
『はい。とりあえず、ヘレニズム哲学は大きく4つの哲学の流派を生み
出したので、一つ一つ、紹介していこうと思います。
 次回は、その一つ、ディオゲネスの哲学についてです』
 それじゃ、アリデベルチ!
 





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