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呟き尾形の哲学講座
第47回
 ヘレニズム哲学 キュコス学派2 キュコス学派の真意

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★

「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ》
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回は、キュコス学派の真意、についてだったよね」
『はい。まず、ディオゲネスの思想を紹介しましょう』
 キュコス学派の思想とは、ディオゲネスの思想だ。ということだね。
 シニョール呟き尾形。
『そうですね。
 まず、ディオゲネスは、”徳”が人生の目的であり、欲望から解放
されて自足すること、動じない心を持つことが重要だと考えました』
《ほえ、それって、なんだか違うような気がするのだ( ̄へ ̄")ンー》
「そうだよね。アレキサンダー大王とか、アテネの人をバカにするよ
うなことを言うような考えだものね」
『それは、その人たちが自然の人間の姿に反する習慣や価値観を持っ
ていたと判断できたからです』
 あ、そういえば、自然的な必要な満足のみが幸福の源泉であるとし
て、これに反する、道徳・習慣・法などの人為をすべて退けるんだっ
たよね。シニョール呟き尾形。
『はい。そうです。
 そして、その目的を達成するためには、肉体的・精神的な鍛錬が
必要で、精神と肉体の鍛錬を重んじました。
 そして、知識や教養を無用のものとし、音楽・天文学・論理学をさ
げすみました』
《なんだか不満なのだ〜、音楽は楽しいのだ( ̄ε ̄;)》
「星も見ていると楽しいよ。天文学も知っていると夜の空を見るだ
けでわくわくするんだけどなー」
 論理学をさげすむなんて、非論理的だ。
『まぁ、いろいろな意見はあるでしょうけど、音楽・天文学・論理
学は、それぞれすばらしいけど、それだけに、それらに酔いしれて、
自然の人間の姿に背を向けてしまう。と考えました』
「え? どうして?」
『自然の人間の姿というのは、禁欲的であるべきで、それで”徳”
がつめると考えたからじゃないかと思います。
 キュコス学派にとって”楽しい”ということは、それにおぼれる
ことだと考えたのだと思いますし、なにより、刹那的になる要因で
もあるわけです』
《なんだか、楽しいことを嫌がるのは納得できないのだ
 (>_< )( >_<)ブンブン》
『そうかもしれませんね。
 でも、楽しいことが終わると、寂しさを感じてしまうのが人間で
す。できれば、ずっと楽しい時間であってほしいと想い、その楽し
いことにおぼれてしまうと、他の事に目を向けられなくなるし、本
当に必要なこと以外のものがほしくなります。
 問題はそこからで、本当に必要なこと以外なものほど、人は求め
固執します。
 そして、固執するものはいつかきっと失い、落胆します』
 人間の欲望ほど、底なし沼みたいなものはないからね。
 なるほどね。だから、本当の幸せというものは一度手にしたら
失われないものなんだ。
『ところで、ディオゲネスは、プラトンのイデア論に反対していま
す。
 ディオゲネスは”僕には(机そのもの)というのは見えないね”
と言ったそうです』
「プラトンはなんていったの?」
『”それは君に見る目がないからだ”と言い返したそうです。
 そして、プラトンは、ディオゲネスはどういう人かと聞かれて
”狂ったソクラテスだ”と評したそうです。
 ディオゲネスにとって、重要なのは理論よりも実践や現実だ。
ということなのでしょうね。
 それを示すような逸話があります。運動の不可能(おそらくゼ
ノンのパラドックス)を論じている哲学者の前で、歩き回ってそ
の論のおかしいことを示しました』
 あはは、そりゃ、一番手軽だ。
 論より証拠で、やってみればわかることだものね。
『そして、ディオゲネスは、唯一の正しい政府は世界政府である
と主張します。以上が、ディオゲネスの哲学、およびキュコス
学派についてです』
「ふ〜ん、なるほどねぇ。じゃぁ、次回は、ディオゲネスの哲学の
まとめだね」
 それじゃ、アリデベルチ!

★★★

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