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呟き尾形の哲学講座
第48回
 ヘレニズム哲学 ディオゲネスとキュコス学派のまとめ

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★

「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ》
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回は、ディオゲネスとキュコス学派のまとめだったね」
 たしか、ディオゲネスはBC410頃〜BC323頃の人物で、
 出身地は、黒海南岸のシノペ(現在のトルコのシノプ)。
 アテネでキニコス派の祖、アンティネスについて学んだんだ
よね。シニョール呟き尾形。
『はい、そういわれています』
 そして、ディオゲネスは、自然的な必要な満足のみが幸福の源
泉であるとして、これに反する、道徳・習慣・法などの人為をすべ
て退けた。
 その為には、立派な体と精神が必要で、心を体を鍛錬することで
魂の自由が確保されるとして苦行を重んじたんだったよね。
 シニョール呟き尾形。
《やっぱり、なんでかわからないのだ》
「まぁ、価値観は人それぞれさ。
 めぐたん」
 そうそう、だいたい、当時の常識をもってしても、奇行で知ら
れているわけだし。
《そういえば、そうなのだ。樽にすんでいたんだだったのだ》
「だから樽の哲人ってよばれていたんだよね」
『はい。そうです。
 そして、ディオゲネスは、国家を認めない生き方そうやって
示したわけです』
 で、それが、ヘレニズム時代に特徴的なコスモポリタズム、
つまり、世界市民主義につながったわけだね。
 シニョール呟き尾形。
『はい。そうです』
《ほよ、コスモポリタズムってなんだっけ?》
 はは、忘れっぽいなぁ、めぐたんは。
 コスモポリタズムとは、家や都市、国家への帰属を拒否し、
宇宙(世界)のいたるところを住処とするという考え方さ。
『そして、キュニコス学派は、一般の現実生活に対しては逃避
的また嘲笑的な態度をとることで古典期の社会(ポリス)参加
を重視する倫理思想とは一線を画することになります』
 そう、まるで、一般常識を皮肉るようにね。
 実際、キュニコスは、現代ではシニカル、シニズムなどのキ
ュニコスから派生した言葉だっていわれているんだ。
「そうそう、それでもって、キュニコス学派において、本当の
幸せは物質的な贅沢や権力や健康などの外面的なものとは関係
ない。なんて、主張したんだよね」
 そう、なぜかというと、キュニコス学派においては、本当の
幸せとはそのような、はかないものに頼ったものではないって
考え方だったわけだね。
「さらに、本当の幸せとは、いったん手にしてしまえば二度と
失われることはないとも主張していたんだよね」
『はい。つまるところ、キュコス学派の思想とは、ディオゲネ
スの思想で、そのディオゲネスは、”徳”が人生の目的であり、
欲望から解放されて自足すること、動じない心を持つことが重
要だと考えました』
 そんで、その、目的を達成するためには、肉体的・精神的な
鍛錬が必要で、精神と肉体の鍛錬を重んじというわけだ。
「そして、知識や教養を無用のものとし、音楽・天文学・論理
学をさげすんだのはやりすぎじゃないかなぁ。
 とおもうんだけど」
《さんせーなのだ》
 いやいや、めぐたん、ムーシコス君。
 そもそも、音楽・天文学・論理学は、それぞれすばらしいけ
ど、それだけに、それらに酔いしれて、自然の人間の姿に背を
向けてしまう。と考えたわけだよ。
 で、自然の人間の姿というのは、禁欲的であるべきで、それ
で”徳”がつめると考えたわけ。
 だよね、シニョール呟き尾形。
『あくまで、私の解釈ではありますけどね。
 何にしても、キュコス学派にとって”楽しい”ということは、
それにおぼれることだと考えたのだと思いますし、なにより、
刹那的になる要因でもあるわけです』
《楽しいことを避けるなんて信じられないのだ》
 でも、楽しいことが終わると、寂しさを感じてしまうのが人
間さ。できれば、ずっと楽しい時間であってほしいと想い、そ
の楽しいことにおぼれてしまうと、他の事に目を向けられなく
なるし、本当に必要なこと以外のものがほしくなるから、余分
だというのが、その主張なんでしょ?
『はい。
 問題はそこからで、本当に必要なこと以外なものほど、人は求め
固執します。
 そして、固執するものはいつかきっと失い、落胆します』
 人間の欲望ほど、底なし沼みたいなものはないからね。
「だから、強い精神と肉体が必要なわけか」
 そうだね、そして、ディオゲネスは、唯一の正しい政府は世
界政府であると主張するわけ。
 まぁ、そんなところが、ディオゲネスの哲学、およびキュコス
学派についてかな。
「ふ〜ん、なるほどねぇ。じゃぁ、次回は?」
『エピクロスという哲学者についてです』
 それじゃ、アリデベルチ!
 


★★★

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