ホーム > 目次 > 呟き尾形の哲学講座

呟き尾形の哲学講座
第54回 ヘレニズム哲学 エピクロスの四種の薬2

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ》
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回は、四種の薬についてだよね」
『はい。
 エピクロスは、
・神を恐れることはない。
・死を思い煩うことはない。
・善はたやすく得られる。
・恐怖にはたやすく耐えられる。
 という四種の薬をもちいれば、さまざまな心配事を解消でき
るといいました』
「じゃぁ、まずは、神を恐れることはないのはどうして?」
『ここで言う、神を恐れるというのは、人が宗教によつて、神
に対する恐れによつて不幸になることを指しています。
 その上で、エピクロスは、天の星たちをふくめた、生命をもつ
この世界は、宇宙の中の多数の世界の一つにすぎないわけです。
 これらの世界の隙間に神々は住んでいて、神々である以上、至
福であり完全な存在です。
 この至福な神々は人間に干渉するはずもなく、ましてや、人間に
害を与えるはずもないから、恐れる必要はない。
 さらにいえば、神々は完全な存在なのだから人間を必要とはしない。
 だから、人間の善行で、神々の恩恵をつかむということもおかしい。
 だから、善行を行わないから、神が罰するということも考えられ
ない。
 という理屈です』
《あ、たしにそのとーりなのだ。
 せーぎ(正義)の味方が、よわもの(弱者)をいじめたりしない
し、悪者みたいな事しないものね〜》
「じゃぁ、死を思い煩うことはない。というのは?」
『それは、私たち人間が、生きている間、死は存在してはいません。
 死が存在するやいなや、それは生きている状態ではありません。
 つまり、私たち人間は、もう存在していません。
 そもそも、 死んでいることで苦しんでいる人なんてありえない。
 という理屈です』
《本当だ!
 死んでいる事を苦しんでいる人なんて見たことないのだ!》
「じゃぁ、善はたやすく得られる。というのは?」
『まさに、エピクロスの快楽主義さ。
 欲望を出来るだけ少なくして、それで満足する事こそが善なんだか
ら簡単に善は得られるわけです』
《うう、これは納得できないのだ〜》
 でも、プリン食べ過ぎておなか壊したし、同じくらい食べても、
最初よりは満足感が少なくなったんだよね? めぐたん。
 それって、ある意味不幸だよ。
《うう、それもわかるのだ〜。
 でも、プリンは美味しいのだ〜》
「じゃぁ、恐怖にはたやすく耐えられる。というのは?」
『エピクロスは、人間が恐怖するのは2つだといったそうです。
 一つ目は、死への恐怖。
 二つ目は、神への恐怖』
《あ、もう、最初の方でダイジョウブなのだ》
『その通りですね。
 死んでしまえば、苦しむ事もないのですから怖がる必要がありません。
 神は、至福の存在ですから、そもそも、人間を苦しめるということは
ありえませ。
 ということですね』
 つまり、エピクロスは、「哲学の救急箱」として、四種の薬をそなえておいた。
 ってことだね。シニョール呟き尾形。
『そうなんです。
 そして、エピクロスは、自らの快楽主義を実践するために、結論とし
ていいましたが、それは次回にしましょう』
 それじゃ、アリデベルチ!





★★★

前へ       次へ    

質問、感想などは 、呟き尾形の哲学講座 掲示板に書き込みしください。

 

目次へ戻ろう