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呟き尾形の哲学講座
第68回 ヘレニズム哲学 新プラトン主義 流出説

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★
.「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ(*⌒〜⌒*)/》
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回は流出説についてだったよね」
『はい。流出説とは、”一者”から、世界は多様化して生じた
ものであると考えた説です』
《ほえ、よくわからないのだ〜(||@Д@)》
『プロティノスは、この宇宙は、究極的な根源である”一者”
から、流出したと考えました。
 そして、”一者”は、力に満ち溢れ、たとえるなら絶え間な
く光り輝く太陽のように、万物を生み出し続けると考えました』
 つまり、この宇宙にあるすべてのものである、万物は、根源
的”一者”から溢れ出した結果だということだね、シニョール
呟き尾形。
『はい、そのとおりです』
「ちょっとまって、それは、”一者”が宇宙を創造したという
こと?」
『いいえ、違います。
 創造とは結局のところ作用であり、作用というのは変化する現
象界でしか起こりえないものです。
 そもそも”一者”は完璧であるから、わざわざ新たに世界を創
る必要性がありません』
《うきー(=皿=)
 頭が変になるくらいわけがわからないのだ〜( ̄ε ̄;)》
 それはね、めぐたん。
 プロティノスの言う、一者は、多に対する一でも、悪に対する
善でもない、相対的であることを超越した存在だってことで、
つまり、ぼくら不完全な存在が想像が及ばないくらい完璧な存在
だということなんだよ。
 そうだよね、シニョール呟き尾形。
『そうですね。
 どうしても、私たちは不完全な世界の住人ですので、完全な
存在というものがいまひとつ想像しがたいものになってしまい
ます。
 そこで、プロティノスは、流出説というものを主張しました。
 流出説は、すでにグノーシス派によっても唱えられていました
が、新プラトン主義は、それをさらに発展させ、重要視した
のです』
《なんだかすごそうなのだ〜(゜ロ゜ノ)ノ》
『まず、”一者”は無限です。
 ですから、”一者”を限定するものは存在しません。
 ですから、”一者”は溢れ、流出していきます』
「そっか、無限だから限りなくどんどんあふれるんだ」
『その通りです。
 つまり、”一者”は完全であり無限の力を持っていますので、
尽きることなく、永遠に流出を続けることができます』
「それは凄い。
 ってことは、泉みたいに、水を溢れ出さすんだね。
 そして、その水は川をつくるということだね」
『その通りです。
 泉は他に源を持たないがゆえに、川のように自らを使い果
たすことはなく、その状態をを保ちながら存在し続けます。
 また、”一者”は太陽にも例えられます』
 たしかに、太陽は熱と光を放ち続ける無限の存在だね。
 シニョール呟き尾形。
 でも、太陽から放たれた光は、太陽から遠ざかるにした
がって、その明るさを弱めるんじゃない?
『その通りです。
 ですから、”一者”から流出したものも同じように、遠ざか
るにしたがって、次第に完全さを失っていきます。
「ということは、結局、流出した世界は”一者”より、どう
しても粗悪になるってことか」
 そう、つまり、現象界や物質界が不完全な理由。
 ってことになるね、ムーシコス君。
『そうですね。
 ”一者”からの流出の観念は、容易に”一神教”と結びつける
ことが可能になります。
 新プラトニズムの思想は、後の中世ヨーロッパのキリスト
教思弁哲学の基盤のひとつとなったとも言われています』
《ふに、ということは次回は、もう中世ヨーロッパの
話になるのか?(・_・ )モウオワリ?》
『いいえ、まだ、新プラトン主義が終わっていません。
 さて、次回は、一者と人間の関係について話をしたいと
思います』
「じゃぁ、詳しくは次回ということだね」
 そいうことだね、それじゃ、アリデベルチ。
 
 

★★★

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