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呟き尾形の哲学講座 
第142回 中世哲学 ルネッサンスの人文思想
 マキャベリのまとめ

 

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
【フォルス・テッセラ】:オチこぼれ占い師
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人


★★★★
「こんにちわ。呟き尾形の哲学講座の生徒のムーシコスです」
 こんにちわ。同じく、生徒のはず・・・のクニークルスだよ。
《こんにちわ。ゲストのめぐたんなのだ(*⌒〜⌒*)/》
『こんにちわ。呟き尾形です』
【こんにちわ〜。フォルスですよぉ〜】
《むむ、当たらない占い師の登場だな》
【ひどいですねぇ。
 まぁ、マキャベリの哲学についてのまとめをしましょうねぇ
 マキャベリは、これまでの哲学者とはちょっと特殊ですよぉ】
《たしかに、マキャベリーなんて、ブルーベリーより酸っぱそう
なのだ》
 ・・・あのね、めぐたん・・・。
【それはさておき、マキャベリは、哲学者としてよりも、政治
学者、歴史家、政治思想家であると認識されることがおおいで
すねぇ。
 実際、マキャベリは哲学書というよりも歴史書を書いてい
ますねぇ。
 中でも、マキャベリといえば君主論という著書があります
が、これが1つのその時代のパラダイムシフトにつながって
いるということが大きな理由だといえるでしょうねぇ。
 さて、マキャベリのあゆみについてふれていきましょうか
ねぇ。マキャベリは、1469年、ルネサンスの華やかなフィレ
ンツェで、中級貴族に生まれます。
 マキャヴェッリは、法律家の父から好奇心を、詩人の母から
は文才を受け継いで、ギリシア・ローマの古典に傾倒したん
ですねぇ。
 マキャヴェッリはピエロ・ソデリーニ政権下の第二書記局長
に登用されたのですよぉ。
 マキャヴェッリが属した第二書記局は、内政・軍政を所轄し
ているお役所ですねぇ。
 そして、マキャヴェッリ自身が各国との交渉に関わることも
多くありましたねぇ。
 そのため、外国に派遣されることも度々であったそうです
よぉ。
 マキャヴェッリは、派遣先で見聞きした各国為政者や古典か
ら学んだ歴史上の人物の中から、権謀術数にたけた教皇軍総司
令官チェーザレ・ボルジアに理想の君主像を見出すようになり
ましたねぇ。
 マキャベリは外交官としての経験を活かし、理想の君主像
とはどういったものか考察していたんですねぇ。
 これは、マキャヴェッリは、外交官としての経験と考察から、
国の根源は、当時の主流だった職業軍人としての傭兵に拠らな
い軍事力にあると確信し、国民軍の創設を計画したんですねぇ。
 このマキャベリの計画に、貴族や富裕層の中には国民軍創設
に反対する者もいたが、その企画は実現したんですね】
「でも、うまくいかなかったんだよね」
【はい。国民軍は期待された成果を挙げることなく、スペイン
の前に屈服し、マキャヴェッリは第二書記局長の職を解かれまし
たよぉ。
 さらに、マキャベリの試練は続くんですねぇ。
 ボスコリ事件という、当時の権力者メディチ家殺害しようと
した陰謀事件に連座したマキャヴェッリは、莫大な罰金を科せ
られて一時拘束されてしまったんですねぇ。
 ただ、この事件で、ボスコリは、メディチ家の男たちを殺し
暴政からフィレンツェを救う目的であったと自白しましたが、
ボスコリが持っていた列記された人名は、陰謀加担者ではなく、
加担者になりうる人々の名前であるにすぎないといわれてい
たので、おそらくは、無実のつみだったんでしょうねぇ。
 激しい拷問を受けた後に釈放されたマキャヴェッリは、自
らの領地にある山荘に隠棲し、その時の執筆活動は政治・歴
史・軍事から劇作までに及び、彼の喜劇は大好評を博し著作
家としての名声をえたんですねぇ。
 マキャベリは、独裁的なメディチ家が君臨する新政権下へ
の就職活動を模索するようになり、その後、ロレンツォ・デ・
メディチが就任すると、マキャヴリに謁見の機会が与えられ、
謁見の場でマキャヴリがロレンツォ・デ・メディチに献上し
たのが、マキャベリの代表作である君主論だったんですねぇ。
 君主論には、理想主義的な思想の強いルネサンス期に、政
治は宗教・道徳から切り離して考えるべきであるという現実
主義的な政治理論を創始されたといわれていますよぉ。
 ロレンツォ・デ・メディチに献上された君主論には、君主
たるものがいかにして権力を維持し、政治を安定させるか、
という政治手法が書き記されていたんですねぇ
 メディチ家政権下で顧問的に用いられましたよぉ。
 マキャヴェッリは、私は我が魂よりも、我が祖国を愛すると愛
国者を自認、いつでもフィレンツェのために役立ちたいと公言し
ていたそうですねぇ。
 そんななか、ローマ略奪でメディチ家がフィレンツェから追放
されると、マキャベリもまた政権から追放されるはめになりまし
たねぇ。
 このような君主論を書いたマキャベリですが、意外にも、マ
キャベリ自身は、陽気でお喋りで、飲む・打つ・買うが大好き、
また良き夫、良き父親、仕事好きでめげない人物だったと言わ
れていますよぉ。
 ただし、君主論のリアリズムは、現代の政治にも通用する
政治哲学が記されていたともいえるでしょうねぇ。
 追放後、マキャベリは、一貫した共和制支持派からは、メディチ
家に擦り寄った裏切り者、ある者からは目的のためには手段を選ば
ない狡猾者と非難され、失意のうちに病を得て急死してしまいまし
たよぉ。
 さて、マキャベリのもっていた理論についてお話しましょうねぇ。
マキャベリは、フォルトゥーナとヴィルトゥという概念を用いまし
たねぇ。
 フォルトゥーナは、運命って意味で、マキャベリは、国家の
あるじたる君主には、フォルトゥーナ、運命を引き寄せるため
には、それだけの、ヴィルトゥ、技量が必要だと主張しました
ねぇ。
 これは、現代においてはそうかもしれませんが、マキャベリの
生きていた時代である中世のせかいでは、国家を政治的な観点で
議論されることは稀でしたねぇ。
 さて、中世のキリスト教の世界では、国家とは神の遺志の現
れであるという考えが根付いていて、国家は神学という観点か
ら論じられていたんですねぇ。
 そのため、政教分離の原則をもつ国の日本で教育を受けた人
には違和感を感じるかもしれませんが、逆に、中世の世界では、
政治と宗教は非常に関係の深いものなんですねぇ。
 これまでの中世の哲学の基盤は、神学が主に語られていたよう
に、国家もまた同じ観点だということですねぇ。
 そんな中、マキャベリは、神学的な見方から抜け出し、国家や
君主のありかたを道徳や倫理といういったことから切り離すべき
だと論じたのですよぉ
 これは、混乱するイタリアにあって、国を治めるためには、
キリスト教的な道徳や倫理よりも、いわゆる武力がものをいわせ
ていた時代背景がありますねぇ。
 ですから、マキャベリは、自国軍創設や深謀遠慮の重要性を故
事を引き合いに出して説いていますよぉ。
 特に、マキャヴェッリは君主論の中で、混乱するイタリアにあっ
て国を治めるために、理想の君主チェーザレ・ボルジアを例示し
て、イタリア半島統一を実現しうる君主像を論じたんですねぇ。
 チェーザレ・ボルジアは、イタリアルネサンス期の軍人・政治
家ですよぉ。
 ちなみに、チェーザレはユリウス・カエサルのカエサルのイタ
リア語の読みなんですねぇ。
 チェーザレ・ボルジアは、自らの野望の為に、父親の教皇の
権力を最大限に活用して、北イタリアのロマーニャ地方から、
トスカーナまでを侵略した軍事と政略の天才といわれています
ねぇ。
 ただ、その手段は冷酷で、南イタリアのナポリでは虐殺と略奪
だったり、同盟さえ反故にして侵略し、部下を殺してで自分
の保身をはかるなど悪名をはせていましたねぇ。
 マベリは君主の権力は、けっして神の意志なのではなく、
君主自身のきわめて個人的な意思や行動によるものだとしたわけ
ですねぇ。
 当時の中世の国家の秩序の維持や外敵からの侵入を防ぐために、
君主は統治の技術にたけているべきだとマキャベリは冷徹に君主
論で説いたんですよぉ。
 マキャベリは君主論において、君主のとるべき術策として、
ライオンの力と狐の狡智が必要だと主張します。たとえ、徳性は
なくても、徳性あるふりをし、信義や約束は必ずしも守る必要は
ないとしたんですねぇ。
 このマキャベリの君主論の考えは、政治をキリスト教的モラ
ルから解放したのですよぉ。
 そして、マキャベリの君主論は当時の政治を既存のキリスト教的
モラルから解放した一方で、国家そのものに倫理的価値を与えたの
ですよぉ
 これは、たとえ、徳性はなくても、徳性あるふりをするとい
うことは、常に、信義や約束を常に敗れということではありませ
んねぇ。
 むしろ、徳性のありふりをしなければいけないので、基本的に
は、信義や約束をまもるようにし、信義や約束によって、四部五裂
で内憂外患に苦しむよりは、強力な統一国家の樹立こそ急務とする
政治観をマキャベリの君主論はしめしているのですねぇ。
 つまり、徳性があるふりをするってことは、意図的に徳性がある
ようにふるまわなくちゃいけないから、常に倫理観を意識しておか
なくてはいけないということになるんですねぇ。
 君主論は当日の君主に衝撃をあたえ、目的のためには手段を選ば
ない権謀術数主義として、マキャベリズムという言葉が生まれた
んですねぇ。
 このマキャベリズムは現代の政治にも通用するほど高く評価され
ていますよぉ】
『フォルス、まとめ、ありがとう。
 以上が、マキャベリのまとめでしたね』
 それじゃ、アルデベルチ。

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