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小説を書こう!
第15回
 投稿小説 ポケットの中のアルタイル 第4回

 

 

 

 

 

 

 

 

  ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
「今回は、さて、今回は、投稿小説を掲載します。全4回で、予定では週間
で発行予定です。」
 物語とは何ぞや? については、次回ということになります。
「ジックリ、取材したんだよね?」
『Σ( ̄□ ̄;』
「なんだか、あやしいなぁ・・・。
 さて、投稿していただいた方は、いるまがわさん。
 ジャンルはファンタジー風児童小説。ちょっと見ないジャンルだね。それ
だけに興味深いな」
 それじゃ、ポケットの中のアルタイルの全4回の最終回。はじまりはじま
りぃ〜。

 作者名:いるまがわ
 ジャンル:ファンタジー風児童小説
 メールアドレス:irumagawa@hotmail.com
 小説の題名:ポケットの中のアルタイル(第4回)

 ぼくたちはふたたび登りはじめた。何時間たったろう。ついに月が目のまえ
になった。ロープの先端が三日月の先にひっかかっているのがみえた。そして
月に手をかけて、からだをのせようとしたとき、それが光る円盤であることに
気がついた。キャンベラとメルボルンをひっぱり上げて、ぼくらは三日月にこ
しかけた。
 月は何枚もの円盤がたてに重なってできていた。たぶんこれがうごいて、満
月になったり三日月になったりするのだろう。まわりをみると、数おおくの星
たちが光っていて、その複雑な軌道にそってカーブした無数のみぞがつくられ
ていた。みぞ?
 メルボルンがいった。
「宇宙には、かべがあるんだな。」
 そうだ。みぞはかべにそって掘られているんだ。この無数のみぞをとおって、
星ぼしが複雑にうごいているのにちがいない。
「ちょっとこれみてよ!」
 キャンベラがさわぐので、みにいくと、宇宙の”かべ”に、はしごがあった。
ぼくははしごをのぼってみた。はしごの先には丸いとびらのようなものがあっ
た。重いハンドルを回してみると、とびらが開き、強いひかりがさしこんでき
た。下をみると、小さくなった村を光の帯がてらしている。
 ぼくはとびらの外へでた。キャンベラもメルボルンもでてきた。そこは真昼
間だった。

 強烈な日ざしがまぶしくて、なにもみえない。
 目が慣れてきても、やっぱり太陽はまぶしすぎて直視できない。あれが本物
の太陽なら、足もとにあるのは? と、考えて下をみると、そこはまっ白いな
にかの上だった。大きすぎてよくわからないが、台所で使うボウルをふせたよ
うなものの上に、ぼくらは立っているのだ。
 右手をみると、赤茶けた大地にすりばち状の穴がいくつもあいていた。はる
か地平線の先にひかるのは、湖だろうか。かすかに緑色もみえた。みとれてい
ると、ぶうんという音がして、背後から、大きな灰色の丸いものがあらわれた。
正確には楕円形だったが、それはあきらかに空中に浮かんでうごいていた。
「なにあれっ! 怪物っ?」
 キャンベラはさけんだが、ぼくはおもった。あれは機械だ。空飛ぶ機械なん
だ。丸いものはぼくたちのあたまをこえ、左手のほうに動いた。下に、ながい
布みたいなものをぶらさげている。ようくみると、文字がかいてあった。『お
買いものは、MARUHIROデパートメントへ』。
「MARUHIROってなに?」
「デパートメントって?」
 よくわからないが、あの機械が行った先になにかあるのだろう。左手のほう
は、右手よりずっと緑が多く、その先にごちゃごちゃと建物みたいなものがつ
づいていた。
「ガーッ」
 とつぜん、バスケットのなかの”グーちゃん”がさわぎだした。
 キャンベラがバスケットのふたをあけてようすを見ようとしたところ、小が
もはバタバタととびだした。
「だめっ!」
 キャンベラがさけんだそのとき、ぼくらの頭上をすごい羽音をひびかせて、
かもの大群が通りすぎた。小がもは懸命にはばたき、群れにまじって消えてい
った。
 風がふいていた。とてもいい風だった。
「月がうごいている。」
 うしろのとびらをのぞきこんでいたメルボルンがいった。
「たいへん!」
 ぼくらはあわててなかへもどった。とびらを閉めてはしごをおり、おりきっ
たところで、なんとか月に飛びうつった。ふたりにはないしょだが、ぼくはそ
のとき、ちかくにあった黄いろい星をひとつもぎとり、ポケットにいれた。ま
ったく熱くなかった。
 三人はロープにしがみつき、懸命におりはじめた。村が近くなってくると、
下のほうで、すごい数のライトやたいまつが動き回っているのがみえた。
 月が低くなるとともにロープがたるみ、ぼくらは村のまんなかにおり立った。
大勢のおとなたちがぼくらをかこんで歓声を上げた。どうやらぼくたち三人が
行方不明だったので、さがしていたらしい。けれども、ぼくらがどこへ行って
きたのか、何をみてきたのか、だれも理解していなかった。
 その夜、ぼくは両親にひどくしかられた。
 月にひっかかってたロープは、しばらく水平線――いや、滝のところでうん
うんやっていたけど、すぐに切れてしまった。次の日からは、ロープの切れは
しをつけたままのぼっているけれど、おとなたちはだれも気がつかない。
 それから、ぼくがポケットに入れた星は、つくえのひきだしにしまってあっ
て、いまでも光りつづけている。この星は、わし座のひとつだったらしく、望
遠鏡をのぞいていたリップルウッド先生が、しきりに首をひねっていた。
 キャンベラの話によると、メルボルンがまた、火薬の材料を手に入れてきた
らしい。近いうちにもういちど挑戦して、こんどこそ、そとの世界を探検する
んだ。

 おわり

 あとがき
 これは、ファンタジーのふりをしたお話です。SFといったら、いいすぎで
しょうか。?十年前のメモ書きを小説にしてみたのですが、いまとなっては何
をいいたくて、こんな話を考えたのかはわかりません。
 メモ書きには、キャラクターについて、名前ぐらいしか書いてありませんで
したので、心情をつかむのに苦労しました。この三人はなんだってこんなこと
をしでかしたんでしょう。
 考えてるうちに、ここはひとつ、思春期直前の奇妙な安定をモチーフにして
みようと思いました。そしてかれらが、子どもであることに飽き飽きしている
ことに気がついたとき、ようやく書き始めることができたのです。
 うーん。あとがきというより解説みたいですね。みっともないなあ。
 小説書き始めて二本目のぺーぺーの作品ですが、読んでくださりありがとう
ございました。



★★★
「あ〜おもしろかった」
 最終的に謎がすべて解き明かされたわけじゃないけれど、主人公たちの世
界は何者かに作られた世界だ。ってことはわかったんじゃないかな。
『次回の結論をのみを言ってしまいますが、物語とは主人公の成長が語られ
るものですからね。
 確実に主人公は成長しています。それが読み取れた。と感じられた方は多
いのではないでしょうか。
 二作目との事ですが、独創的なおどろきの展開、次回作が楽しみです。
 タイトルもひねってありますよね。
 個人的にはやはり、誰に作られた世界なのか。何のための世界なのか、
ということが明確になると、読み終えた後の爽快感は倍増するでしょう』
 それではアルデベルチ!





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