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小説を書こう!
第56回
 比喩について D 声喩 3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★
  ボォン ジョルノ、こんにちわ。クニークルスです。
「こんにちわ。みなさん。ムーシコスです」
『こんにちわ。呟き尾形です』
「今回は、声喩の使い方についてだよね」
『はい。
 まず、声喩のなかの擬音語は、カタカナで書く場合が多いです』
「たとえば?」
 そうだね。たとえば、
”ドンとぶつかった”
とか
”ガッハッハと豪快に笑った”
 なんてのがあるね。ムーシコス君。
『それに対して、擬態語は、ひらがなで書く場合が多いです
 たとえば、
”ぐにゃりとまがった”
とか
”しんしんと雪がふった”
 というのがあります』
「多いってことで、決まりじゃないんだよね?
 ひらがなの擬音語とか、カタカタの擬態語とか」
『そうですね。
 あくまで多い。ということです』
「う〜ん、わかったようなわからないような」
 そうだね。
 実際、”擬音語”と”擬態語”とは、ハッキリと
区別できないものもあるからね。
「え? そうなの」
『そうですね。
 とりあえず、辞書なんかでは、擬音語は、そのままの形で、
ないし、”と”を伴う連用修飾語となるなんてかいてあって、
”擬態語”のような、”―だ”の形で用いられることは少な
いと書いてあります。
 そして、”擬態語”は、そのままの形で、ないし”―と”、
”―だ”、”―する”など語によっていろいろな形で用いら
れる とされています』
「この分類じゃ、”擬音語”か”擬態語”かハッキリしない
んじゃない?」
 たしかにそうだね。
 本をペラペラめくるなんて、どっちかわからないよね。
『たしかに、明確な判別ができないこともありますが、
 明確に判別する必要はなくて、声喩には、概ねこんな
タイプがあります。
 という認識でいいと思います』
 まぁ、たしかに、両方の要素があるやつは、それぞれの
要素が使えるってことでいいんだものね。
「あ、そうか。
 でも、なんでそんな風にあいまいになっちゃうの?」
 それは、きっと声喩そのものが定義しにくいものだから
じゃないかな。
『そうですね。声喩(オノマトペ)は、新しい表現を登場
させることに、新しく、ユニークな声喩を、多くの人が躍
起になって作り出そうとします。
 そのため、古い声喩は、その価値が下がりやすくなります。
 ですから、せっかく定義したころには、死語になっていた
ということもありえます。
 さらに、声喩は、とても感覚的で主観的なものに訴える
比喩ですから、地方や人によって、捉え方がでてきて、
標準的な定義を当てはめにくい。
 ということが考えられます』
「いわれてみれば、そうだね。
 じゃぁ、声喩って、簡単につくれるの?」
『簡単ではありませんが、ある程度コツはあります。
 擬音語や擬態語で、いちばん数が多いのは、”○×○×”
とくり返すものがあります。
 たとえば、”フワフワ””ペタペタ””ワンワン”など
です』
 ちなみに、それは、現代に限ったことじゃないみたたいなん
だよ。
 奈良・平安の時代から、”○×○×”とくり返す擬音語や
擬態語が、使われているみたいだから。
『そうですね。
 日本語では、”○×○×”の型になっている擬音語や擬態語が、
時代を問わずに多数あるといえます』
「へぇ、そうなんだ」
 ただね、ムーシコス君。
 声喩についてはさまざまな偏見があるんだ。
 日本語は、声喩がたくさんあって、その歴史も古いのにもか
かわらず、声喩は幼稚だとか、下品だとか評価されることが
ある。
「それって、変じゃない?」
『だから偏見といえます。
 もっとも、これは他のレトリックや比喩でもいえることですが、
多様することは、効果的ではないということですね』
「でも、どうして幼稚だったり下品だといわれるの?」
 多分、子供がよく使うからとか、擬音や擬態を使わないで表現
するほうが創意工夫が必要だからだと思うよ。
 ムーシコス君。
『そうですね。 
 ”すたすた”歩くなんて、なかなかうまく表現できませんし、
へたに声喩を使わないで書くと、わかりにくくて読者に伝わらな
いなんてことがありますからね。
 そうすると、難しくてわかりにくい事が高尚だ。
 なんて本末転倒な印象もあるにはあるわけです。まぁ、一つの
テクニックとしてならいいでしょうけれど、安易に難しく書くの
もやはり幼稚だと思います。
 なんにしろ、”難しくてわかりにくい”事が高尚で、”簡単で
わかりやすい”ことが幼稚、というのは単なる先入観です』
 なにはともあれ、声喩を使うのがピッタリするときには、あえ
て使うのを避ける必要はないってことだね。
 シニョール呟き尾形!
『そうですね。
 では、次回は提喩について述べたいと思います』
 それじゃぁ、アルデベルチ





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