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呟き尾形の哲学講座
第3回 呟き尾形的 大雑把哲学史

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登場人物紹介
『呟き尾形』:講師・・・のはず
クニークルス:奇妙な物言うウサギ。生徒のはず
「ムーシコス」:音楽の好きな少年。生徒。
《めぐたん》:魔女ッ娘。生徒
※各台詞は、名前を囲んでいる括弧の人物の台詞です。

★★★
『こんにちわ。呟き尾形です』
 さて、今回は、質問のメールがあったので、その回答を。
『え? メールがあったの?(☆o☆)キラキラ』
「じゃぁ、あーみさんからメールの質問の部分を読むよ

>いろいろな段階がある、視点がある、ということは、哲学には、「自然
>哲学」だけでなく、他の哲学もあるのですね。生物の進化の樹形図のよ
>うに、哲学もいろんな種類があり、派生してきているのでしょうか。
>(これを体系図というのでしょうか?)

>大変そうですが、一度、哲学の種類を解説していただけないでしょうか。

 だそうです」
《そういえば、そうだよね。たくさんあるの?》
『はい。たくさんあります。
 大体、哲学は、人間の数だけあるといっても過言じゃない。まぁ、時代ごとに傾向はありますけどね。
 今、話題になっているのは、ギリシア哲学の一部の自然哲学だけど、西洋哲学では、ざっとあげて続きは・・・
 ・ギリシア哲学
 ・キリスト教哲学
 ・イギリス経験論
 ・大陸合理論
 ・ドイツ観念論
 ・実存主義
 これが主流ですね』
「たくさんありますねぇ」
 そりゃ、そうさ。ムーシコス君。哲学の歴史は人間の歴史だからね。
『クニークルスの言うとおりだですね。
 さて、それでは、できるだけ簡単に解説しましょう。
 自然哲学を祖とするソフィスト。
 ソフィストと対立するのがソクラテスの哲学なんだけど、このソクラテスの行動は、ソクラテスの弟子、プラトンがまとめたものなんです。
 そして、プラトンの哲学は歴史でも有名なアリストテレスに継承されて、行く。
 まぁ、このあたりまでが、俗に言うギリシアの哲学なんだ。
 ギリシア哲学というのは、前回まで解説した自然哲学を祖としているから、肉眼で見えるもの、感じられるものが重要視され、そこから、真実、善、美を導き出しているのが特徴ですね。
 あ、この真実、善、美というのは、数学が数字によって答えを導き出すように、哲学が導き出そうとする答えでもあります。
 何が真実で、何が善いことで、何が美しいのか? その問いかけに答えを導き出すのが哲学なんだ』
「なんか、価値観の集大成みたいですね」
『まさしくその通り。さすがムーシコス。だからこそ人の数だけ哲学があります。
 話を戻して、その哲学が西へ渡ると、ユダヤ教、キリスト教など宗教と融合して行きます。
 それはやがてキリスト教哲学という括りで徐々にまとめられて行きます。
 キリスト教哲学は、宗教を根本としているので、キリスト教に基づく理論、(神の下での)自由、平等、三位一体から、真実、善、美を導き出しているのが特徴ですね。
 さて、西洋がルネッサンスを迎えると、哲学もキリスト教哲学への批判の声が出てきます。これが、イギリス経験論と大陸合理論哲学を見出してきます。
 まずは、イギリス経験論というのは、ルネッサンスの頃の最新の科学の思想が用いられました。これまで、ギリシア哲学は個人の主観、キリスト教哲学はキリスト教という宗教の主観から真実、善、美を導き出したんだけど、本物の真実、善、美であれば、すべての人間に共通であるはずだ。つまり、客観的な真実、善、美が存在するはずだ。と主張し、それらは経験に基づいて導き出されるはず。見えもしない真実、善、美には疑いを感じ得ない。という訳です。
 で、大陸合理論は、現代哲学の父、「我、あるがゆえに我あり」で有名なデカルトをはじめとした哲学者たち。
 名前ぐらいと言葉ぐらいは聞いたことがあるのではないかと思います。
 大陸合理論とイギリス経験論の違いは、イギリス経験論は外にある経験できる出来事(客観)から真実、善、美を導き出そうとしたのに対し、大陸合理論は、まさしく、思考することで、精神的な面(主観)から理論の形成し、真実、善、美を導き出しました。
 そして、大陸合理論とイギリス経験論はやがて、ドイツの哲学者たちに引き継がれ、カントをはじめとするドイツ観念論によって統合されます。
 ドイツ観念論は主観と客観の統合によって、真実、善、美を導き出すんだ』
《わかんないよ〜》
 はは、めぐたん、このあたりから、哲学は輪をかけて複雑になるから、一言でまとめようとすると漠然としたことしかいえません。
 詳しくは、後日、講座にもりこまれる予定です』
「哲学をする時、主観と客観はとっても重要な意味を持つんだ。って言う程度に考えればいいってこと?」
『その通りです。
 実は、ドイツ観念論の後、実存主義という革命的な哲学が生まれます。
 実存主義は複雑怪奇の上に、今回の最初に書いたように、人の数だけ哲学が存在することを認めてしまったようなものなんだ。
 これまでの哲学は、なにか一つのもの縛られていました。
 キリスト教哲学はキリスト教、大陸合理論も人間を超越する管理者としての神を認めていたし、イギリス経験論も客観に縛られていました。ドイツ観念論も主観と客観とを統合するというテーマに縛られていました』
「あれ? ギリシア哲学は?」
『当然の疑問ですね、ムーシコス君。そう、興味深いのは、実存主義とギリシア哲学はどこか本質的に似通っているんだ』
《ってことは、逆戻りしたってこと?》
 いいや、違うんだよ、めぐたん。たとえば、共和制という政治制度があるよね?
 まぁ、みんなで為政者を選び出そうという制度だけど、共和制はなにも近年になってはじめてできた制度じゃないんだ。
 それこそ、古代ギリシアから行われ、そして、現代になって民主主義としてヴァージョンアップしてよみがえった。
 これを逆戻りとは言わないよね?
『ま、まぁ、そんな感じだね。時代は繰り返す。と考えてもいいと思います。
 平面的に物事を見れば確かにただの繰り返しだけれども、実は螺旋階段を登っていて、1週したとしても、前よりは高い位置にあるって考えればいいんじゃないかと思います』
「で、実存主義は何をもって真実、善、美を導き出したの?」
 それはね、君の中にもあるし、めぐたんにも、セニョール呟き尾形の中にもある。そして、ボク、クニークルスにもある。
 当然、これを読んでいるセニョール、セニョーラの中にもあるんだ。
『さすがクニークルス。その通りです』
「でも、そんなので一つの学問として成り立つの?」
 それは、また後で。
 実存主義は最も難解で、最も平易な哲学だからね。
 おっと、そろそろ、時間だから、とりあえず、これが哲学の主流だけれども、他にも実存主義におおいに貢献したフッサールの現象学、やればやるほど訳がわからなくなる、ソシュールの言語学と構造主義、現代になって結構、注目されている東洋哲学、哲学かどうかあやしいけれど、精神分析学、社会主義なんかもあるよ。
『あ、また、私のレポートを・・・』
 細かいことは気にしない。
 タレスの言葉については、次回に繰り越します。
 さて、これを読んでいる皆さん。なにか質問や疑問はありませんでしたか?
 あるいは、なにか意見があるときは、メールで連絡をいただければ、講座の中で取り込んでいきたいと思っています。
『わ、私のせりふ〜(ToT)』
 細かいことは気にしない。
 それじゃ、アリベデルチ。 


★★★

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