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英雄の為の序曲
 子供たちの狂詩曲 2

プエルギガス年代記 子供たちの狂詩曲 2

 「え? どうしたのリージャのお姉ちゃん」とカーズは首をかし
げる。
「ううん、なんでもないの。
 それより。ご飯の時間よ。
 カーズ。ジルォンさんもまっているわ」
 カーズはにっこりと微笑みながら、大好きでやさしいリージャと
頼りになるジルォン叔父さんが両親になればなぁ。と考えながら
リージャと一緒に丘を降りて行った。



 カーズが物心ついたころ、ジルォンと一緒に旅をしていた。ジ
ルォンは旅の武芸者であり、得意の槍の演舞を路上で披露したり、
実際用心棒や賞金の出る武芸大会に出場して路銀を稼いでいた。
 ジルォンは普段、寡黙であるが、必要に応じて雄弁になり、時
として人間とは思えないほど強かった。
 だが、ジルォン自身は自分が強いことを否定し、隠し続けるよ
うな行動をとっていた。
 武芸大会も、優勝するためではなく、雇い主がいて、わざと負
けるために参加することもあった。
 実際、明らかにジルォンよりも弱い武芸者に負けることもあっ
た。
 カーズは知っていた。
 夜道を野党に襲われたときのジルォンの人間離れした強さを。
人を助けるときの人間離れした能力を発揮することを。
 また、ジルォンは教養もあり、カーズに読み書きや、生活に
必要な知恵、処世術。
 考え方などの教育を施していた。
 そうやって、これまで、カーズとジルォンは国を渡り歩いて
いた。
 中原とよばれる文明を重んずる民族トゥクル人の国、ニュー
トゥクル王国から北を目指し、武芸を重んずる民族、トルファ
ン人のトルファン3公国からここ、魔法の帝国ケオティッカ帝
国までやってきた。
 ケオティッカ帝国は、ケオティッカ人が支配する国である。
ケオティッカ人の多くはずんぐりした体格だが、貴族はすらり
とした体格であることが多い。
 ケオティッカ人は何事も極端な発想を持つ民族で中庸という
ものがないのが特徴であり、また、魔法を使う才能を持つもの
が多いのも特徴である。
 そういった背景があるためか、選民思想が強い傾向にあり、
他の民族に対して排他的であったり、高圧的であることが多い。
 アールア人であるカーズも、子供とはいえ、ケオティッカ帝
国の門と呼ばれる南の砦で多くの差別を受けた。
 だが、カーズはそんな差別よりも、ケオティッカ人の使う魔
法に目を奪われていたこともあり、それほど傷つく様子も無
かった。

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